2014 Fiscal Year Research-status Report
単孔式腹腔鏡下手術に対する安全手術支援システムの開発
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25330312
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
石井 千春 法政大学, 理工学部, 教授 (80296079)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 単孔式腹腔鏡下手術 / 安全手術支援システム / 脳波 / 表面筋電位 / 手術手技自動識別 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、手術中の医師の表面筋電位と脳波の測定に基づき、手術手技の自動識別を行い、特に医療ミスに繋がりやすい手術手技に対して、通常の操作と異なる操作を検知し、これを医師に提示することにより、単孔式腹腔鏡下手術における医療ミスを防止する、安全手術支援システムを構築することである。 [e] 危険性が高い操作に対する解析:結紮操作において最も危険に繋がり易い「糸結び」操作に対して、熟練医が操作を行った時の力加減を目標領域に設定し、術者の力加減をモニター画面下部のバーに表示する。これにより、術者は常に力加減の強弱を視覚的に認識することが可能になる。また、術者の背中の菱形筋の表面筋電位を測定し、「肩の力み」および「突発動作」を検出した際に、スピーカーからそれぞれノイズ、およびアラームをBGMに挿入して警告する、聴覚提示を行う。 [f] 力加減の提示および聴覚提示の実装:上述した「糸結び」操作に対する力加減のモニター提示、「肩の力み」および「突発動作」に対する聴覚提示を実装した。また、結紮作業の「巻付け」操作(鉗子の軸部に糸を巻付ける操作)における左右の鉗子の操作情報を測定し、熟練医の操作を規範とし、術者が左右の鉗子を効果的に動かしているかどうかを判別し、提示するインターフェイスも開発した。 さらに、開発したシステムの有効性を検証するために、ドライボックスおよび豚を用いて縫合操作を行った際の熟練医と研修医の生体信号のデータ収集も行った。 提案した安全手術支援システムをロボット手術に適用する際のSPS用手術支援ロボットに関しては、学会発表を行った2名の学生が、優秀論文発表賞とBest Presentation in Sessionを受賞した。また、力覚フィードバックに関して、反力推定オブザーバに基づいて、ロボット鉗子の把持力を推定する2つの方法を提案し、国際学会において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉗子の操作量と表面筋電位を用いた安全手術支援システムに関しては、研究目標を達成できているが、手術手技の種類に関しては、「縫合操作における刺入」、「結紮操作における糸結び、巻付け」以外にも、多種の手術操作に本手法を適用し、拡張していく必要がある。 外科医との医工連携が確実に実施できており、外科医の意見を取り入れながらシステムの構築が行えているので、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、構成した医療ミスを防止する安全手術支援システムに対する、外科医による豚実験による検証、および言語報告、生体情報、行動指標による定量的な評価を実施する。 [g] 検証実験および評価:構築した単孔式腹腔鏡下手術における医療ミスを防止する安全手術支援システムの有効性の検証を行う。再度、単孔式腹腔鏡下手術の熟練医に協力していただき、構築した多重安全手術支援システムの運用の下でもう一度、豚を用いて縫合作業を実施してもらい、その時の術者の生体信号、作業に要する時間のデータを収集し、解析を行う。①SD法による外科医からの言語報告、②心拍数の測定による外科医のストレスの程度(生体情報)、③治療動作に要する時間(行動指標)、の比較により、提案する安全手術支援システムの快適性を定量的に評価し、提案手法が単孔式腹腔鏡下手術に対する安全性向上のための多重安全化の1つの対策として利用できることを明らかにする。 また、得られた研究成果については随時、国内外の学会で公表する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、昨年度に約18万円の使用額が生じたためである。外科医との医工連携が予定よりも順調に進んでいるため、外科医からの専門知識の提供及び生体信号データ収集に対する謝金、データ収集実験のための消耗品の購入により、次年度使用額は5万円弱となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額の使用については、次年度も医工連携として外科医からの生体信号データ収集実験を2回行う予定であり、このための謝金、及び消耗品(ひずみゲージ、縫合糸、縫合針)の購入に充てる。
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Research Products
(17 results)