2013 Fiscal Year Research-status Report
体表周囲音波トモグラフィ計測による腹部断面弾性組成映像法
Project/Area Number |
25330334
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
山田 晃 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20159213)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 音波トモグラフィ / 内蔵脂肪検査 / 超音波腹部スキャナー / 腹部断面音速分布映像 / 超音波CT / 超音波画像診断 |
Research Abstract |
(1)体表輪郭の光学計測と送受信経路選択:腹部周囲のレーザ距離計により取得される体表輪郭データをもとに、体表上の送受信点ならびに送受信経路を決定した。その際、脊髄は音波の障害物となるため、脊髄を通る経路を除外してトモグラフィ計算を行う必要がある。その一方でデータの除外は情報の欠落を招き再現画像を劣化させる。この問題に対処するために、脊髄の位置が計算座標の中心に一致するよう送受信経路を設定した。これにより、除外経路の影響を最小に抑えた。ここでは体表輪郭データをもとに脊髄のおおよその位置を推定することで、最適経路を選定する方法を検討した。 (2) 体表周囲走査による接触制御の高速化:腹部体表上を超音波送受信器を機械移動させながら、対向送受信器間の音波伝搬時間をオープンエアーの状態で測定する、体表周囲自動検査装置を構築した。4基のリニアステージ(送受信各々のXY移動)と1基の回転ステージ(対向送受信器回転走査)のマルチMCU(マイクロコントローラ)並列制御により、コンタクト&アウェイ移動制御の高速化を実現した。 (3) 位置決め精度向上とデータ取得の確実性向上:上記(1),(2)の結果に基づいて、送受信器間距離を0.1mmオーダーの精度で精密に制御しながら、押込シリンダーに取り付けられた送受信器を直径720mmの検査領域円内の任意の目標位置に1mm以内の精度で機械移動する機構を実現した。さらにハードウェア上の機械調整だけでは解消困難な駆動系の位置合わせ誤差(送受信器の平行走行度や押し込み傾き角の誤差)に対処するために、プログラム補正処理を取り入れた。これらの検討により、データ取得の確実性が向上し、音波送受信測定から伝搬時間算出/再構成計算までの全処理過程の自動化を可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腹部体表周囲上の超音波伝搬時間測定に基づいた腹部断面弾性組成映像装置の実現を目的として検討を行った。当初、初年度に予定していたレーザ計測手段によるデータ取得の高速化についての検討を後回しにして、機械位置決め精度の向上を含めて、コンピュータ制御自動検査システムの構築を初年度の検討に差し替えて行った。その理由は、直径720mmの検査領域円内を、5自由度の駆動系のもとに、面平行を維持しながら送受信面間距離0.1mmの精度で走査できる自動走査機構の実現に、予想以上に困難を伴うことが判明したためである。技術的側面が強い本問題の性格上、想像以上に解決に手間取ってしまい計画全体に若干遅れをきたしてしまった。具体的には、接触制御機構や機械位置決め精度に関わる検査装置のハードウェア上の諸問題をクリアするための、装置全体の見直し、機構改良や精密調整などの地道な検討に多くの時間を要した。その甲斐あって、研究実績欄にも記したように、おおむね問題解決を図ることができ、体表上の多方向複数経路上の所望位置への移動、コンタクト、音場送受信の一連の処理の自動化、高精度化については、概ね目標を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、人体に適用できる実用装置として実現するために、検査処理の自動化、検査時間の短縮、映像再現性能の向上、を本年度までの当面の検討課題に据えている。このうち、処理の自動化については、電子的機械的仕組み、位置決め精度と調整などのハードウェア上の検討は完了しており、おおむね目標性能を達成できる見通しにある。残された問題は、体動に伴う接触角や押し込み状態の変化に左右されない、より万全な体表/送受信器間の接触制御の実現と、それに基づいた伝搬時間データ取得の精度向上である。そのために、3D光学形状測定による体表輪郭追跡(体動補正)などの方策を検討していく。また、検査時間の短縮に向けては、レーザ計測手段によるデータ取得の高速化を図っていく。これらの検討を終えた後に、最終年度では本検査装置の人体への適用と、提案法の医学的有効性を実証するためのボランティア被験者を対象にした内蔵脂肪検査の臨床評価試験を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在までの達成度の欄に記したように、次年度に予定していた” コンピュータ制御自動検査システムの構築“を初年度に行い、反対に初年度に予定していた”レーザ計測手段によるデータ取得“を次年度に行うよう計画変更した。これにより、レーザ関連の物品を次年度に購入することにしたため繰り越し余剰金が発生した。 上記の計画変更に伴って、繰越余剰金の多くはレーザ計測関連を中心にした物品の購入経費に当てる予定である。
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