2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25330341
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
作村 諭一 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (50324968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 和司 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (10262552)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞運動 / 運動極性 / 力分布 |
Research Abstract |
細胞運動(移動・変形)は生物の形態形成の基本であるだけでなく、ガン細胞の浸潤などにも関わるため、その原理解明は重要である。細胞運動の過程は大きく2つに分類できる。1つ目は外部環境の情報に反応して運動方向を決める「意思決定過程」であり、上位の細胞内分子シグナルに基づく研究が豊富である。もう1つの過程は、物理的に接触した培養基質に対する作用力・反作用力の関係に基づく「力学過程」である。後者の過程は細胞運動に対して直接的な制御を与えるにもかかわらず、力の配分と実際の動きを説明する研究は少ない。本研究課題は、力学過程に焦点を当てた細胞移動の原理解明を目的とする。具体的には、細胞が基質に対して形成する「力場分布」、そこから変換された合成力としての「前後極性」、そして実際の「移動」、という一連の物理過程を解明する。この目的のために、実験定量データを導入した数理モデルを構築する。対象は培養基質上の細胞性粘菌の運動である。上位のシグナルが外部環境に基づいて移動方向を決定する過程は、本研究課題で扱わない。あくまで細胞と基質の間の力学過程に重点を置き、力学過程と実際の移動の関係を明らかにする。25年度は、基質に埋めこまれた蛍光ビーズの変移からの力推定、および形態の定量化、数理モデルによる表現法の決定を行った。基質に埋め込まれた蛍光ビーズの変移量からの力推定は他のグループによる先行研究があるが、本研究課題では力方向に関して事前知識を導入したベイズ推定を行い、先行研究より精度の良い手法であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
力推定に関する論文を発表し、25年度の目的は達成された。26年度に行う予定である数理モデル構築について一部開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、実験定量データからの定量数理モデル構築を行う。前年度で得られた実験データを解析し、その特性から力学過程に基づいた数理モデルを構築する。細胞は可能な限り簡素にするため2次元多角形で考え、ノードをバネ・ダンパエッジで結合したものを考える。細胞形状に関するモデル設定の後、基質との相互作用を含めた力学過程を定式化する。既に構築しているモデルでは、細胞が基質と接着・剥離を繰り返す過程を静止摩擦・動摩擦の運動に例えて数式化を行っている。これをベースにモデル修正を行う。データはノイズが含まれること、モデルパラメータには生物学的・物理学的制約があることなどから、ベイズ理論を用いた手法で適切なパラメータ推定を行う。27年度 は、 細胞の前後極性・変形・移動の共通原理の解明を行う。推定されたパラメータを適用したモデル細胞の移動の様子を実験データと比較し、その違いを評価する。また、細胞移動を定量的のみならず視覚的にも表現し、研究代表者と岩楯氏で理論と実験の両面からいくつかのモデルを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度に論文校正を行う予定であったが、26年度に持ち越されたため 25年度に行う予定であった論文校正を26年度に行う
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Research Products
(3 results)