2015 Fiscal Year Research-status Report
TCR-pMHC結合エネルギーの精密計算に基づく胸腺内T細胞選択の原理の解明
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25330349
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鶴井 博理 順天堂大学, 医学部, 助教 (40217386)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | TCR-pMHC / MM/PB(GB)SA / binding energy / specificity / cross-reactivity / FMO / molecular dynamics / 基準振動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
pMHCが共通で特異性の高いTCRとcomplexを形成するもの(PDBID:3C5Z)とcross-reactiveなもの(PDBID:3C60)の2つの共結晶から構造を得て、molecular dynamicsとMM/PB(GB)SAにより結合の自由エネルギーを得て、それぞれの結合ペプチドに系統的なmutationを入れることにより、それぞれのTCRに関するbinding profileを調べることが目的であった。溶媒を入れると約18万原子からなる系のmolecular dynamicsを10~20 nsec行い自由エネルギーを計算したが十分な再現性(数kcal以下の精度)が得られず、計算手法の再検討を行った。ここ十数年、タンパク質のような巨大分子でもその電子状態が精密かつ現実的な計算時間で求められるようになってきており(fragment molecular orbital, FMO)、リガンドとの結合の精密な評価に用いられ、創薬においても重要な手法となってきている。巨大タンパク質間の相互作用に適用するにはいくつかの問題があるが、大きな可能性を含むものとして適用を試みた。京に移植されたAbinit-MPで、前述2つのPDB fileの構造から、TCRのvariable domainとpMHCのへリックス・ペプチドを含むドメイン約400残基に関してMP2, 631-Gdの計算レベルで計算を行い、各フラグメント間の相互作用エネルギーが得られた。さらに、PIEDA計算(静電項、交換反発項、電荷移動項、分散項に分離)を行い、各残基間の相互作用を解析した。FMOは一点計算(最安定構造のみの計算)であり、また溶媒の効果を取り込むことが巨大分子間の場合複雑となる、といった課題があり、今後検討を行う。また、原子間の動的相関により、結合の特異性を解析する方法も試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた、molecular dynamicsとMM/PB(GB)SAによる結合自由エネルギー評価が十分な再現性をもたらさないのが最大の理由である。FMOによる計算は残基間相互作用に関する極めて詳細な情報をもたらすが、量子化学計算を行うにはかなり大きな系であり、計算に乗せる準備に時間がかかった。FMOは一点計算であり、溶媒の効果の取り込みが複雑なことから、実験で求められる自由エネルギーと結びつけるには検討が必要であることも、理由の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)溶媒を除いたタンパク質本体のみのFMO計算により、残基間相互作用エネルギー、PIEDAによる相互作用の性質の詳細な解析は可能となったが、現実の系により近い、溶媒を含んだ系における水分子の影響の取り込みを試みる。この試みにより、残基間相互作用のより正確な解釈が可能となり、分子間(TCR-pMHC間)相互作用エネルギーの定量的評価につながる。 (2)specificおよびcross-reactiveなTCRを含む共結晶で、提示されているペプチドに系統的な変異を導入し、結合エネルギーへの、ペプチド配列の影響(binding profile)を求める。 (3)これらの計算から得られた結果に基づき、TCR-pMHC間相互作用のspecificity, cross-reactivityに関する一般的な原則を求める。
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Causes of Carryover |
当初予定していた古典力学によるMDとMMPB(GB)SAによる、TCRとpMHC間の結合エネルギーの評価が、現実的な計算時間(100 nsec)では十分な再現性が得られず、計算手法を再検討する必要が生じた。現時点では、量子化学を蛋白等の巨大分子に適用するFragment Molecular Orbital (FMO)を検討しており、「京」での「FMO創薬コンソーシアム」に参画、計算の実績を得ている。当初予定していた、このため、計算機設備の購入を保留した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
量子化学的計算が、TCR-pMHCのような比較的巨大な系にも成り立つことが示されたので、京での計算は継続するが、比較的細かい局所的な計算には、ワークステーションのような設備が使いやすいため、量子化学計算を効率的に行うための計算設備の補充(計算ソフトおよびGPGPU)を行うことを考えている。
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Research Products
(2 results)