2015 Fiscal Year Annual Research Report
非対面取引におけるセキュアスコアリングアルゴリズムの構築
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25330371
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高橋 雅和 山口大学, 技術経営研究科, 准教授 (20621105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 和彦 筑波大学, ビジネス科学研究科(系), 教授 (50302378)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 通信販売 / 不正検知 / パターン解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
顧客と非対面で取引を行う通信販売は,商品到着後の後払い決済をひとつの売りとしている.一方で,商品を受領したにも係わらず支払わない不正取引や,分割払いの途中で支払いが滞る延滞債務など,後払い方式に起因する貸倒引当金額の増加が,業界の成長とともに顕在化している.各社個別の与信管理体制による業者を渡り歩く不正取得や,配送業務の業者移管による住所や宛名の誤表記を配送業者に推測訂正させる商品受領など,管理体制やシステムの不備を突く悪質な発注を出荷までの短時間に発見することが必要とされている.そこで,取引のパターン解析をもとにした受注時点での安全度のスコアリングを出荷時の知識として提供し,課題解決の方策とすることを研究目的とした. まず,通販企業の取引情報をもとにして不正顧客の特徴分析を行った.次に支払い方法と督促状の関係について分析を行った.支払い方法の変更と督促状の効果の関係は,未集金の顧客に対して督促業務を忘れていた企業の取引履歴を用いて代金の自然入金率と督促状の効果を検証した結果,督促状発送後20日経過した時点では98%程度の入金率となる事が判明した.このことから督促状の発送タイミングの最適化では債権回収を完全に行うことは難しく,受注の段階で不良顧客の選別が重要であるということがわかった.この結果をふまえ,支払忘れに関する作為と不作為の判別方法について研究をすすめた.その結果,発注パターンをもとにして作為的不払い顧客の可能性を推定することができ,支払いをうっかり忘れた顧客の効率的識別が可能となった.本年度は,論文1本,国際会議2件,研究会発表2回行うことができた. 本研究の成果により,従来は業務経験則で培われてきた当該不正検知知識を効率的に抽出することが可能となり,研究成果を広く現場実務に還元することが可能となった.
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