2015 Fiscal Year Annual Research Report
データマイニングとゲーミフィケーションによる認知症ケアプログラム評価方法の探索
Project/Area Number |
25330374
|
Research Institution | Institute of Wellness and Ecological Sciences (Global Research Center for Applied System Science) |
Principal Investigator |
成田 徹郎 有限会社自然医科学研究所(実証システム国際研究センター), その他部局等, 研究員 (30521372)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 正樹 国際医療福祉大学, その他の研究科, 教授 (60433629)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 認知症ケア / ゲーミフィケーション / データマイニング / 労務環境調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年間の研究実績を踏まえて平成27年度は、認知症デイサービスのレクリエーションにゲーミフィケーション要素を取り入れることにより、アルツハイマー型認知症患者22人の精神症候の進行を遅らせる効果について観察研究を行った。ゲーミフィケーション要素を取り入れる前後3か月間でのNPI(Neuropsychiatric Inventory)は、54%の被験者は認知症の精神症候が改善し、13%の被験者は認知症候の悪化が見られなかった。同時に測定したスタッフの介護サービスの負担度は、被験者の50%は軽減し、27%は負担度に変化は見られず、ゲーミフィケーション要素を取り入れた効果と推察された。その効果が現れる要因についての決定木解析では、介護スタッフの行動様式や熟練度が抽出された。さらに利用者の自立行動やグループワークへの参加意欲をかき立てさせる“声掛け”が重要な行動要素であることが析出された。これらの結果から、認知症デイサービスのレクレーションにゲーミフィケーション要素を取り入れることは、認知症患者の行動心理症状(BPSD)の抑制に効果的であり、認知症の精神症候の悪化を遅らせる効果が期待されること、スタッフの負担度の軽減につながることが示唆された。なお、院外薬局の処方データ12,814件について、認知症患者が服薬している期間と薬剤数を集計・分析したの結果、服薬薬剤の種類と期間の影響は少ないと判断し、認知症薬の服薬状況の影響は解析要素から除外した。 本研究は、認知症デイサービスで提供されているレクレーションプログラムに、ゲーミフィケーション要素を取り入れることを科学的に検討して、その効果を確認した。認知症デイサービスという制約下では、研究の限界はあるものの、経験的に行われていたプログラムの改善に、一定の方法論を持ち込んだことで、その経験則を支持し得る結果が得られた意義は大きいと考える。
|