2013 Fiscal Year Research-status Report
英国の公共図書館政策の構造的変化:利益団体とその役割を中心に
Project/Area Number |
25330386
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
須賀 千絵 慶應義塾大学, 文学部, 講師 (80310390)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公共図書館 / 図書館政策 / 図書館情報学 / イギリス / 市民団体 |
Research Abstract |
1 英国の利益団体に関する理論研究の成果を整理した。ただし調査を進める中で,利益団体に加え,社会運動の概念が有用であると気づき,P. Byrneの研究等に基づき,社会運動の概念の検討にも着手した。市民団体を社会運動の概念で解釈することの有用性について述べた学術論文を執筆中である。 2 平成25年6月29日に,イングランド芸術評議会の図書館政策担当者と全国的規模で活動する市民団体や個人の活動家との意見交換会が開催された。意見交換会の開催を知り,両者の意見を知る非常によい機会であることから,急遽,イギリスに出張して意見交換会に参加した。意見交換会への参加を通し,さまざまな立場の関係者の意見の共通点と相違点を知ることができると共に,有力な市民団体の関係者や活動家と信頼関係を構築することができた。 さらに個別地域で活動する団体の活動概況を把握するため,新聞・雑誌記事,web サイトなどから,継続的に,情報を収集した。平成26年2月にイギリスに出張し,3つの市民団体の関係者を対象に,構成員,戦術,財源,全国的な頂上団体を含めた他の利益団体との関係等について,インタビュー調査を実施した。インタビュー調査を通し,個々の団体の具体的な活動内容について詳細な情報を得ることができた。現在,インタビュー調査の結果の分析を進めている。 3 平成26年2月に開催された,図書館政策に関する地方議員向けセミナーに参加し,地方議員の立場での政策展望について情報を収集した。市民団体の主張に加えて,市民団体の交渉の相手方となる個々の地域の行政担当者の意見を知ることは,政策に関わるさまざまな関係者の立場の違いや相互の関係を理解するうえで非常に役立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現実に進みつつある政策動向に基づいて調査を進めるため,研究開始後に得た情報に従って,柔軟に調査計画を変更して対応した。当初の予定になかった会合への参加のため,調査結果の取りまとめや論文の分析枠組みの構築にはやや遅れが生じた。しかし会合への参加やインタビュー調査を通し,当初の見込みよりも効果的に,市民団体やその相手方となる行政担当者の意見を把握することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,次の順序で研究を進め,主に,分析枠組みの構築と市民団体の活動概況や主張の把握に努める。平成27年度以降,市民団体以外の利益団体の調査に着手する。 1 平成25年度に引き続き,政治学における利益団体や社会運動に関する研究の整理を進め,それらの成果をもとに,市民団体を分析する枠組みの構築にあたる。 2 市民団体の活動について情報を継続的に収集すると共に,市民団体の関係者や個人の活動家に対するインタビュー調査を実施する。 3 平成26年に,中央政府が図書館政策についての調査報告を行うことが決定したため,その調査報告書が刊行され次第,内容の分析を進める。 4 理論的な分析枠組みの構築,前年度のインタビュー調査の成果について,学会発表を行い,論文を執筆する。
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