2014 Fiscal Year Research-status Report
英国の公共図書館政策の構造的変化:利益団体とその役割を中心に
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25330386
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
須賀 千絵 慶應義塾大学, 文学部, 講師 (80310390)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 図書館情報学 / イギリス / 公共図書館 / 利益団体 / 図書館政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.英国において公共図書館の閉館に反対する市民運動(図書館運動)を展開している団体・個人の活動概況を把握するため,新聞・雑誌記事,webサイト等から継続的に情報を収集した。 2.平成27年2月に英国に出張し,図書館運動を行っている全国団体1(The Library Campaign) ,地域団体2(Save Lincolnshire Libraries 及びBroomhill Library Steering Group(Sheffield)),個人運動家1名(Shirley Burnham氏)を対象に,これまでの活動の経緯や他の図書館運動団体との関係などについて,団体の代表者と運動家本人に対するインタビュー調査を実施した。それぞれの具体的な活動内容について詳細な情報を得ることができたので,前年度の調査結果と合わせて,現在,データの分析を進めている。 3.イギリスのキャメロン政策のもとでの公共図書館政策の概要についての論文を執筆し,図書館運動展開の背景と実態についてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同時代の政治現象を研究対象としているため,現実の政治動向を把握すること,その中で適切な研究対象と作業課題を見定めることを並行して進めた。あらかじめ設定した枠組みに沿って研究を進めるというより,研究を進めながら枠組みの設定も同時に進めなければならないため,結果の分析と論文執筆の作業にはやや遅れが生じた。しかし,図書館運動の中心的な人物や団体の協力を得て,順調に調査を進め,次年度以降の論文執筆に向けてのデータを十分に蓄積することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,次の順序で研究を進める。 1.これまでに引き続き,政治的アクターや制度など,研究で用いる基本概念について,政治学の研究成果をもとに検討を加え,理論的な分析の枠組みの精緻化を進める。 2.全国及び地域的な図書館運動団体の活動について,文献等で補足の調査を行うとともに,これまでの結果をとりまとめ,論文を執筆する。 3.平成24(2012)年以降,年1回実施されてきた,図書館運動の全国集会Speak Up for Librariesでの議論について,参加者と発言内容を中心に分析を進める。その一環として2015年に実施が見込まれる次回の集会に出席する。 4.平成26年度末に政府に設置された公共図書館タスクフォースの活動と公共図書館政策にもたらす影響について,今後,公開される情報をもとに分析を進める。なお平成27年5月に実施予定の総選挙を経て,タスクフォースも含め,公共図書館政策の内容や関係機関が大きく変動する可能性もある。今後の動向に応じて,調査計画は柔軟に見直す。
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Causes of Carryover |
旅費の一部がクレジットカード決算であったため,年度末の使用分について引き落としの処理が次年度に繰り越されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度4月に,前年度に使用した金額について立替の処理を終え,繰り越し分の使用額を支出を終了する予定。
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