2015 Fiscal Year Research-status Report
英国の大学図書館でとりくむ特別支援プロジェクトの検証
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25330390
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
松戸 宏予 佛教大学, 教育学部, 准教授 (80584482)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大学図書館 / 障がいサービス / イングランド / 特別支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,英国の特別なニーズをもつ学生に対して大学図書館が行う特別支援について,取組みの背景,実際の取組みと仕組みを検証し,わが国の大学図書館の特別支援への示唆を得ることを目的とする。本年度は,これまでの成果(2013年度と2014年度)を還元するため,研究発表(2件)と論文(和文2件・英文1件)にまとめた。和文については投稿(2件)済である。 (1) 研究の成果発表 研究発表では特別支援担当の役割(課題2)について2件の発表を行った。2015年6月に一般社団法人全国高等教育障害学生支援協議会 第1回大会のポスターセッションにて「英国の大学図書館における特別支援担当の役割と取組み」を発表した。また,8月には大学図書館問題研究会において口頭発表を行った(「イングランドの大学図書館における特別支援担当の取組みにみる役割」)。 (2) 論文作成 これらの発表をもとに,『大学図書館研究』に2015年12月25日に論文「英国の大学図書館における特別支援担当の役割と取組み:事情背景を視座に」を投稿した(2016年5月13日の段階では,査読中)。一方,特別支援の取組み背景(課題1)については,2013年度に日本図書館情報学会にて口頭発表した「イングランドの大学図書館における特別な支援の背景要素 : ブロンフェンブレンナー理論を援用して」を基に論文にまとめ投稿した(2016年5月4日に採用受理)。そして,特別支援の問題と対処方法(課題3)については,2014年度に日本図書館情報学会にて口頭発表した「英国の大学図書館における特別支援の現状とその背景 : 特別支援担当と支援体制に着目して」を英文投稿するため本文,図表をとりまとめた。オンライン雑誌「「New library of Academic Librarianship」への投稿は本文と図表を更新するのみとなった(2016年5月12日現在)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度は課題3「特別支援の問題と対処方法の検証」であった。2012年に立てた計画には訪問調査も予定していたが,2014年2月~3月にかけて行ったオンライン調査,そして2015年2月の訪問調査にて委託企業による支援を除いたデータが得られていた。これらのデータをもとに,前年度に「英国の大学図書館における特別支援の現状とその背景 : 特別支援担当と支援体制に着目して」という題目で日本図書館情報学会において口頭発表を行っていた。 また,2015年2月の訪問調査時は手数料を含めると1ポンド200円だった。このため,2015年度はこれまでの研究成果を口頭発表や論文にまとめる期間とした。課題3については「英国の大学図書館における特別支援の現状とその背景 : 特別支援担当と支援体制に着目して」を英文にまとめた。オンライン雑誌「「New library of Academic Librarianship」への投稿は本文と図表を更新するのみとなった(2016年5月13日現在)。 なお,2013年度は(課題1)特別支援の取組み背景の検証,2014年度は(課題2)特別支援担当の役割と中心的な取組み支援内容の検証であった。 課題1については,「イングランドの大学図書館における特別な支援の背景要素 : ブロンフェンブレンナー理論を援用して」という題目で論文にまとめた。そして,2015年10月に『日本図書館情報学会誌』投稿し,2016年5月4日に採用受理となった。 課題2については6月と8月に口頭発表した後,「英国の大学図書館における特別支援担当の役割と取組み:事情背景を視座に」という題目で論文にまとめた。そして,『大学図書館研究』に2015年12月に投稿した。ただし,まだ,査読中である(2016年5月13日現在)。しかし,各年度の課題を検証,口頭発表,論文と段階を踏んで進めていることから「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1前半 課題4 大学内における障害者サービス部,そして, 外部の支援組織団体(JISC, CLAUD, SCONUL)と大学図書館における連携効果の検証ではオンライン調査で得られたデータから,研修と連携が問題を軽減しているのかを統計処理で検証する。得られた成果については11月の図書館情報学会で発表する。 2後半 課題5の準備 支援を行ううえでの大学図書館の研修の内容と方法の検証ではイングランドのオンライン研修を提供する企業(MARSHALL)とCLOUD, 7校の大学図書館へ訪問調査を行う。併せて,IFLA発表申込準備も行う。 訪問調査では次の3点に留意する。 ① イギリス政府は障がい学生手当の見直しを行い,大学図書館における特別支援の内容についても2015年2月あたりから会議や研修の場において議論されている。ただし,大学内・外部組織との連携により大学図書館内における特別支援の質的なものはこれまでと変わらないことが予想される。この点について,実際に,大学図書館の特別支援の内容はどのように変化したのか。もし,変化があった場合, 継続されて行われている支援は何かを調査する。 ② オンライン研修として複数の大学がMARSHALLを挙げていた。あるいは,大学図書館員が独自に,クイズを作成してオンライン化していた。具体的な研修内容について調査する。 ③ CLAUDが年に2回,自主的に研修プログラムを企画しCLAUDメンバーの研鑽の場となっている。しかし,2016年4月に事務局に問い合わせた返事としては,2016年の7月で終了となるかもしれないとのことだった。その場合,これまで調査した大学へ継続で訪ねる予定である。
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Causes of Carryover |
2015年度は課題3「特別支援の問題と対処方法の検証」であった。2012年に立てた計画には訪問調査も予定していたが,2014年2月~3月にかけて行ったオンライン調査,そして2015年2月の訪問調査にて委託企業による支援を除いたデータが得られた。そして,これらのデータをもとに,2014年度に「英国の大学図書館における特別支援の現状とその背景 : 特別支援担当と支援体制に着目して」という題目で日本図書館情報学会において口頭発表を行った。 また,2015年2月の訪問調査時は手数料を含めると1ポンド200円だった(2013年2月は130円)。このため,2017年2月予定の訪問調査で想定されるポンド高円安を考慮して,2015年度はこれまでの研究成果を口頭発表や論文にまとめる期間とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年2月にイングランド訪問調査予定。訪問先候補はCLAUD,英国大学図書館7校,研修オンライン提供企業MARSHALLである。
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