2013 Fiscal Year Research-status Report
デジタル時代における芸術活動のアーカイブモデル構築の研究
Project/Area Number |
25330397
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
嘉村 哲郎 東京藝術大学, 芸術情報センター, 芸術情報研究員 (90543710)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | デジタルアーカイブ |
Research Abstract |
計画案では、初年度に「1.作品の制作と記録化」「2.創作過程の記録と情報整理」「3.データモデル化の検討」を同時並行で進めていく内容であったが、実際に取り組めた内容は1および2の結果となった。作品の制作と記録化を開始するに当たり、作品の制作には研究協力者に東京藝術大学美術研究科 博士課程に在籍する菅良平氏に協力を依頼した。本フェーズがめざすゴールは、制作活動に関する情報を作家自身が記録化・デジタル化できるように、物理的資料のデジタル化とデータの蓄積・整理がどのような方法で実現可能か検討した。研究開始時、すでに作品の制作を進めていた菅氏には、制作に関連する物理的な資料が大量に蓄積されていたことから、資料がどのような形態でいつ収集されたものであるか、調査を必要とした。今回は、これらの資料のデジタル化を第三者が試験的に実施することで、一連の作業負担を確認し、制作活動と同時に可能なアーカイブの作業方法および分量、品質を検討した。電磁的データである電子メールやSNS上の書き込み、ブラウザの閲覧履歴や検索キーワードについては、今後データ整理ができるように随時蓄積している状態である。現存する作家の場合、これらのデータを取り扱う場合には、プライベートな情報が多く含まれていることから、これらの情報をどのようにするべきか慎重に検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1冊のファイルに保存された資料を画像データで取り込む作業に限定したが、数多くの問題点や確認事項が発生し、多くの時間を費やす結果となった。これらに関する課題点は次のとおりである。 ①ポストカードの取り込みは、内容によって書類モードでの取り込みと写真モードの取り込みが混在した。②クリアポケット内の資料の画像データと2穴で綴じられた資料の画像データを比較した場合、視覚的に相違が無い(クリアポケットに入っているという状態を保存するべきか否かという判断)。 ③直接に作品に関連のある資料(スケッチなど)は高解像度で取り込むことが望ましいが、作家以外の作業者がデジタル化する場合は、その資料が作品の制作に重要な要員を与えた資料であるか否か、判断が困難な点があった(例:レシート)。④スキャナでの取り込みには、高解像度(720dbi)で行ったため、読み取りに膨大な時間を要した。1回の読み取りにつき6~10分程度。作家自身がスキャニングすることを考えた場合、この時間をアーカイブに費やすことは困難である。作家側と第三者が実施いる点の作業分担を行い、それぞれに方法や品質を設定する必要がある。⑤資料の形態の問題。両面、冊子、折り畳まれてサイズが変更されているものなど、情報化する際により具体的な記述方法を検討する必要がある。 このように、実際の作業を進めるうちに検討すべき課題が多く発生したことが理由があげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
資料データの整理には、データ整理のための研究補助者を付けて円滑に研究を進められるように体制を整える。電磁的データである電子メールやSNS上の書き込み、ブラウザの閲覧履歴や検索キーワードについては、今後データ整理ができるように随時蓄積している状態である。現存する作家の場合、これらのデータを取り扱う場合には、プライベートな情報が多く含まれていることから、引き続き慎重に検討しつつ、進めていく。 今後は、デジタル化したデータの構造化および①~⑤の課題の解決、作家自身によるアーカイブ作業の実施、電磁的データの整理を進めて行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究に関する研究調査に際し、調査の対象になった国際会議の日程が3/30~4/5にかけて行われた。年度を跨ぐ日程であったことから、旅費および参加費用の支払いは、帰国後の次年度以降に行う必要があった。 研究調査とし、国際会議Museum and the Web2014への参加。
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