2013 Fiscal Year Research-status Report
摂動に基づく,プログラミング言語の文法知識習得支援技術の研究開発
Project/Area Number |
25330416
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
古宮 誠一 国立情報学研究所, 先端ソフトウェア工学・国際研究センター, 教授 (60338308)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 摂動 / コーディングサンプル / ミューテーション操作 / オリジナル / ミュータント |
Research Abstract |
下記のような研究課題について研究を進め,その研究成果を電子情報通信学会と情報処理学会の研究会で,それぞれ発表した。 (1)開発対象となるプログラムに求められる要求仕様を,このプログラムの開発を分担する人達が,プログラミングする前にみんなで議論することにより,要求仕様の内容の妥当性をチェックするとともに,要求仕様の内容に対する理解をプログラムの開発を分担する人達全員で共有する必要がある。(このプログラムの開発を分担する人達が,要求仕様の内容を勝手に解釈してプログラムを開発すると,プログラム間の接続仕様が悪くなり,それが原因でソフトウェアの設計不良が生じる。)これらを可能にするために,議論に参加しなかった人達でも,このときの議論の内容を理解し易いような形で即時記録する方法を検討した。(2)プログラミングの初学者にとって,プログラムの記述から,そのプログラムの挙動を思い描くことは難しい。その原因は,プログラムの実行を制御する構文の記述内容が変わると,プログラムの挙動がどのように変化するかということを初学者が理解できていないからだと考えられる。そこで,プログラムの実行を制御する構文(制御構文と再帰関数)に着目し,その部分のプログラムの(実行時の)挙動を可視化するシステムAZURを開発し,授業に導入して,その有効性を評価した。(3)ソフトウェア開発の対象となるソフトウェアを,オブジェクト指向の概念に基づいてモデル化する作業を学習する演習授業において,初学者にとって習得が難しい箇所を自動検出する手法と,検出する作業を支援するシステムを試作した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
摂動に基づき,既存のコーディングサンプルに摂動(変更)を加える処理の方式設計の検討が遅れている。具体的には(1)コーディングサンプルを収集して,摂動の対象(コーディングサンプルに変更を加える箇所)と変更内容を検討する作業,(2)コーディングサンプルに摂動を加える処理方式の検討作業(方式設計),(3)変更後のコードをどのように評価し,その評価結果を学習者に,どの時点でどのように返すか,などを検討する作業,これら3つの作業には殆ど進展がない。しかし,コーディングサンプルに摂動を加えることを可能にする処理のキーテクノロジーが,ミューテーション・テストなどの分野で使われている『ミューテーション操作』の技術であることが判ってきたことは収穫である。一方,本研究の成果を利用する段階で必要となる2つの作業,(4)プログラムの実行を制御する構文(制御構文と再帰関数)の実行過程を可視化するシステムAZURを授業に導入して,その有効性を評価する作業,(5)コンパイルエラーの修正作業支援システムを授業に導入し,AZURによって収集した,コンパイルエラー修正作業のログ情報を分析することにより,その有効性を評価する作業については,前者は順調に進んでいるが,後者は授業への導入が未着手である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)システムの実装,(2)方式設計の担当者が担当する(プログラミングの初心者を対象とする)授業に,構築したシステムを導入してシステムの有効性を確認すること, 遅れているこれらの作業を確実に進め,遅れを回復させなければならない。このため,方式設計の担当者が担当する予定になっている,上記の2つのうちの少なくとも一方を別の人間に割り当てることを検討する。また,これらとは別に,(3)コンパイルエラーの修正作業支援システムを授業に導入して,このシステムの有効性を評価する作業が確実に行われるように,この作業の担当者(研究協力者)をフォローする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(=前年度未使用額)が生じた理由は,研究協力者がそれぞれの職場の事情により,本研究よりも職場の業務を優先せざるを得なかったために研究が進まなかったので,予定していた国際会議発表等に係わる予算の執行が行われなかったからである。 研究協力者の状況を再確認して,この研究に協力できない場合,別の研究協力者を募り,新しい研究協力者と協力して研究の遅れを取り戻す。これにより研究成果を上げ,平成25年度に予定していた,(1)研究成果を国際会議の場で発表するための旅費予算600,000円,(2)国際会議に投稿する論文の英文校閲のための予算160,000円,(3)研究成果の投稿料のための予算300,000円,(4)研究成果を国内のワークショップや研究会などで発表するための旅費予算143,000円,の4項目の予算を1年遅れで平成26年度にそのまま執行する。開発用マシンについても,平成26年度に執行する。
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