2013 Fiscal Year Research-status Report
インターネットの不適正利用リスクを減少させる教育システム開発
Project/Area Number |
25330429
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 自由が丘産能短期大学 |
Principal Investigator |
豊田 雄彦 自由が丘産能短期大学, 能率科, 教授 (80331411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 美香 自由が丘産能短期大学, 能率科, 准教授 (70259034)
市川 博 大妻女子大学, 家政学部, 教授 (80248898)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インターネット / 情報倫理 / 教育ツール / コミュニケーション / 心の理論 |
Research Abstract |
インターネットの普及に伴い、その利用にまつわるトラブルも頻発している。学生のSNS利用に関する自由記述からも、多くの学生がネット上でのコミュニケーションのトラブルを経験していることがわかる(調査1)。本研究ではインターネット不適正利用のリスクを減少させるため教育ツール開発の予備的調査として、その教育ツールの内容、教育ツールの活用時期を探るために、インターネットの利用開始時期を調査した。またインターネット利用におけるトラブルを分類し(調査2)、その枠組みで中学校「技術・家庭科」、高等学校「情報科」の教科書を調査した。さらに大学における情報倫理、セキュリティ教育の状況も調査を行った(調査3)。 [調査1の概要]ネット上のトラブルについて自由記述を行い、テキストマイニングにより分類を行った。全段落中で記述に占める割合で多いのは待ち合わせ等の連絡の行き違い、無視や「死ね」といった不適切なコミュニケーション、twitterやLINEといったSNSにおける不愉快な体験といったものが挙げられる。高校時代の体験も多くみられることから、高校入学時には対応が必要と考えられる。 [調査2の概要]OECDのリスク分類を参照して総務省がまとめたインターネット利用のリスク分類がある(以下ILASと記する)。また警察庁、総務省、消費者庁およびメディアで報道された事例をまとめた報告(田代2011)によれば「金銭」、「コミュニケーション」、「管理」、「心身」以下18の細分類のように分類される。ILASの分類に比して、田代の分類の方が網羅的であるため、調査3には田代の分類を使用することとした。 [調査3の概要]中学校、高等学校、大学における情報セキュリティ教育に関する状況の一端を調査するため、中学校「技術・家庭科」、高等学校「情報科」、大学の情報リテラシー初年次教育のシラバスを調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度においては以下の3項目の実施が予定されていた。 1)ソーシャル・ネットワーク上のテキスト・データを解析する。特に、本来の主題を超えて発言が繰りかえされるフレーミング事例の典型性を抽出する。 2)テキストマイニング解析では、特に感情表出表現を抽出する。各発言を形態素に分解し、その形態素の構成に数量化III類などの統計的手法を加えることにより、テキスト内容をカテゴリー化する。それによりどのように議論が進展していくのかを可視化する。また情報中の感情表出表現を検索し、抽出する。 3)どのような感情表出表現(単語、主題、表現様式)がトラブルを生起させやすいか実験計画法の手法で、調査協力者を募って感性評価・測定し、要因のインパクト(主効果と交互作用のあり方)を定量化する。2)で得られた感情表出表現と可視化された議論の進展を比較し、どのような感情表出表現が問題を発生させやすいかモデルを明確化する。感情表出表現とそこから発生した問題をさらに類型化し、教育ツール作成のための基礎データを得る。 予備的な調査の結果、SNSにおけるトラブルの原因は多岐にわたり、キーワードのみからの探索では、対策に困難が予測されたため、本人の欲求のあり方からネットワーク利用上の経験、態度、またコミュニケーション過程における対応行動を調査し、その関連を明確化することが望ましいと考え、教育ツール開発のプロセスを一部変更することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
個人の欲求の状態を調査する心理テストおよびネットワーク利用の態度調査の実施体制を確立し、実施する。その後、その関連性を解析し、教育ツールの設計に移る。 心理テストについては、以前に自由が丘産能短期大学で「大学生のための悪徳商法対策教育用チェックリスト」として作成、実施されたものを更新し、ネットリテラシー教育に適した内容のものに変更する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画によればSNSデータのテキストマイニングを実施することになっており、そのデータ収集のために150,000円の謝金を用意していたが、研究計画を変更しSNSデータのテキストマイニングの実施を見送ったため、相当額が未使用となった。 研究計画を変更し、個人の欲求の状態とネットリテラシーの関連を測定するため、心理テストを実施することとしたが、調査結果のデータエントリー費用として使用する。
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