2014 Fiscal Year Research-status Report
インターネットの不適正利用リスクを減少させる教育システム開発
Project/Area Number |
25330429
|
Research Institution | Sanno Junior College |
Principal Investigator |
豊田 雄彦 自由が丘産能短期大学, 能率科, 教授 (80331411)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 美香 実践女子大学, 人間社会学部, 教授 (70259034)
市川 博 大妻女子大学, 家政学部, 教授 (80248898)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | インターネット / 情報倫理 / 教育ツール / コミュニケーション / 欲求尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究では適正なインターネット利用をはかるために必要な教育ツールの開発を行う準備段階として、インターネット利用上のトラブルと個人の欲求特性になんらかの関連があると考え、女子学生に対し、欲求とネット上のトラブルの経験について質問紙による調査を行った。回答結果について因子分析を行った結果、欲求に関する「他者への従属」「生理的欲求への耐性」「外見美の重視」「正当性の重視」「賞賛獲得」「安全への欲求」「快楽・新奇性の追求」「逸脱した刺激の追求」という 8つの因子を見出すことができた。 これらの因子を用いて欲求特性を表すことにより、各人の因子得点を計算し、トラブルの経験の頻度が増すほど、特定の因子得点が高いなどの、欲求因子とネット上のトラブルについて一定の関連があることを見いだせた。 ネット上のトラブルの経験と欲求因子の関連について例示すると以下のとおりである。1)「インターネットオークションでのトラブル」の経験の頻度と「外見美の重視」「賞賛獲得」因子、2)「覚えのない請求のメール・メッセージを受け取ったことがある」経験の頻度と「規範から逸脱した刺激を求める」因子、3)「違法な薬物などの購入を呼びかけるメール」の受け取り経験と「外見美の重視」因子、4)「知らない人からの誘いのメール」の受け取り経験と「外見美の重視」因子および「逸脱した刺激の追及」因子、5)「読んで不愉快になるメール」の受け取り経験と「生理的欲求への耐性」因子、「快楽・新奇性の追求」因子および「逸脱した刺激の追及」因子 一定の関連は見出せたものの、欲求特性だけではネット上のトラブルについて十分説明できていると言えず、今後、追加調査を行い、その関係を明確にしていきたい。再調査の結果を踏まえて教育ツールの開発を検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の仮説では個人の欲求のあり方とインターネットを利用する際のトラブルの体験に大きな相関があると考えていたが、質問紙調査の結果、欲求のあり方という内的な要因だけでは説明力が弱く、「親子でネットの利用法について話し合っているか」「インターネットのセキュリティについて教育を受けたか」といった外的な要因も影響していると考えられる。今後、こうした要因の関連も踏まえて調査を行い、より確実に説明できるモデルを構築し、教育ツールの開発につなげたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は研究の推進方策として以下のフェーズを想定している。 1)インターネットを利用する際のトラブル経験をより合理的に説明できるモデルの構築 2)モデルを証明するための調査実施 3)モデルの解析 4)モデルに基づいた教育ツールの開発 1)については欲求などの内的要因と教育、環境などの外的要因を考慮したモデルの構築を行う。2)についてはインターネットを利用した調査を行い、より広範なデータを収集する予定である。3)については2)の結果を共分散構造分析等を用いて解析を行い、各要因間の関連を明確にする。4)については3)で得られた知見を基に、個人の抱えるリスクの程度を示すツールを開発し、教育の現場で試用し、その効果を確認する。
|
Causes of Carryover |
購入した統計ソフトウェア(SPSS Categories、Advanced Statistics)についてキャンペーン価格により当初の予算より安価に購入できたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度においてネットワークトラブルが発生する構造モデルについて再調査を実施することにしたため、調査費用(アンケート実施業者への調査委託費の一部)として充当する。
|