2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25330439
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
河合 隆史 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90308221)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 立体視映像 / 情緒表現 / コンテンツ / 情動価 / 覚醒度 |
Research Abstract |
本研究では、立体視映像を、エンタテイメントや文化を支える新たなメディアとして確立するために、「立体視映像ならでは」の情緒表現を可能とする、機能的な奥行き感の演出アプローチを提案する。具体的に、立体視映像コンテンツに含まれる両眼視差を定量化し、体験者の感情との対応付けを行うことによって、その制作手法を、疲労や負担を回避する消極的なものから、より高次のパラダイムに到達させることを目的としている。 初年度は、世界的に著名な立体視映像コンテンツから、情緒表現と判断されるシーンを分析し、感情毎に視差操作の特徴を定量化し、これを他の静止画像に適用・評価することで、その機能性を検証した。 具体的に、感情を喚起する画像の大規模なセットであるInternational Affective Picture System(Lang et al.,2005)から抽出した元画像と、各画像に含まれる単眼情報に基づいて両眼視差を付加した立体視条件、そして感情別の視差操作を反映した条件間で、情動価と覚醒度に与える影響を、Self-Assessment Manikin(Bradley et al.,1994)を用いて比較・検討した。結果から、立体視化と視差操作の反映により、覚醒度を増進する可能性が示唆された。 また、上記の視差操作は、いずれの感情においても再生範囲を拡張するものであるため、感情喚起への影響が、視差操作によるものか、視差の増大によるものかを峻別するための追試も行っている。結果から、感情喚起を促すための視差操作においては、空間の範囲が重要であり、その拡張率の設定によって、影響の度合いが異なることが明らかとなった。また、拡張率の上昇に伴い、情動価と覚醒度に及ぼす影響の度合いが、相反する方向に顕著となる傾向が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で実施した実験的研究の成果として、立体視映像コンテンツの視差操作による感情表現とその効果に関する基礎的なデータを取得した。この成果は、以下の国際会議論文として発表した。 ・“Disparity modifications and the emotional effects of stereoscopic images”,SPIE,Vol.9011,2014 さらに、感情喚起への影響源を同定するための追試を行うことで、空間の拡張率の影響が顕著であり、その拡張率の上昇に伴い情動価と覚醒度に及ぼす影響が相反する傾向を認めることができた。これらの成果は、当初計画を順調に達成することで得られたものであり、当該分野における新たな知見を与えるものである。 追試による成果についても、2014年6月に開催される日本人間工学会 第55回大会をはじめとして、国内外で積極的な発信を行っていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策は、当初計画に従い、情緒表現を意図した動的な視差操作の定量化と、機能性の検証を行っていく。 具体的には、初年度の実験的研究を通して得られた知見を活用することで、特定の感情表現を意図した視差操作を、動画像に対して適用するアプローチを考案し、その有効性を検証していく。
|