2016 Fiscal Year Annual Research Report
Oxygen dynamics in coral reefs revealed using in-situ incubation experiments and modelling approach
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25340004
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邉 敦 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (00378001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 理 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (00293720)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 酸素動態 / 安定同位体比 / サンゴ / 培養実験 / モデル解析 / 一次生産者 |
Outline of Annual Research Achievements |
サンゴ礁では日中、しばしば酸素が過飽和になり気泡化する現象が見られるが、その発生量や元素・同位体組成に関しては未知な部分が多い。また夜間のサンゴ類による呼吸は、拡散律速により形状に依存した同位体分別を引き起こすと考えられるが、このサンゴ形状と同位体分別の関係も知見に乏しい。本研究では、大気への流出入による同位体組成の変化の影響を除くため、気体に対して閉鎖的な培養チャンバーを作成し、様々な形状の造礁サンゴや他の一次生産者を用いた培養実験を行うことで、明条件での過飽和気泡の組成・量の把握、暗条件での呼吸時の酸素同位体分別効果を測定することを目的とした。 光合成に伴う気泡は、検討の結果、現場培養により密閉容器上方に溜まる気泡をスクーバ潜水によりガスタイトシリンジを用いて採取した。サンゴ礁の主要一次生産者である造礁サンゴ類、海草類を用いて実験をおこなったところ、サンゴ類は気泡を発生せず、海草類は多くの気泡を発生することが分かった。気泡の組成を分析した結果、予想に反し純酸素ではなく、酸素に加え窒素やアルゴンも含む気体であった。酸素の3種安定同位体比分析から、酸素には光合成起源のシグナルが残っていることが分かった。ただ窒素やアルゴンがどのようなメカニズムで気泡中に取り込まれたのかについては解明できなかった。本研究により気泡発生量と海草のバイオマスの関係が得られたため、既に開発済みのサンゴ礁規模の酸素動態モデルに、過飽和になって気泡化する酸素量を組み込める見通しが立った。ただし水温や光量等の環境要因が気泡発生量に及ぼす影響は未解明の為、モデルの一般化には更なる実験データの蓄積が必要である。暗条件での呼吸量はサンゴの表面積・バイオマスに比例することが分かった。ただしサンゴ形状と酸素安定同位体比との関係は明瞭なものが得られなかった。
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