2013 Fiscal Year Research-status Report
生化学的アプローチによる動物プランクトン生産速度の測定
Project/Area Number |
25340011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小針 統 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (60336328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小谷 知也 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (30389069)
山田 雄一郎 北里大学, 水産学部, 講師 (80458744)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動物プランクトン / 生産速度 / 核酸 / 酵素 |
Research Abstract |
これまで、海洋の生物生産力の目安となる動物プランクトン生産速度を測定するには、高度な技能に加えて多くの労力と時間が必要となるため、定量的な情報が非常に少なかった。このため、水産資源や海洋生態系変動の予測や評価が難しい状況であった。このような問題点を打開するため、本研究では動物プランクトン生産速度を生化学的に測定する手法を確立し、その有効性を明らかにすることを目的とした。初年度には核酸を使った手法(核酸比法)に焦点をあて、①核酸分析プロトコル作成、②核酸比法と従来法の比較、③核酸比法における利点・問題点の検証に取り組んだ。 まず、汎用性が高く容易かつ迅速に生産速度を測定できる核酸分析プロトコルを作成した(課題①)。様々な体サイズの動物プランクトンに含まれる核酸やタンパク質を同じ要領で高精度に抽出できるように、試料と薬品の混合量を変えて試験し、容易かつ迅速な分析プロトコルを作成した。次に、動物プランクトン飼育個体群を使って、核酸比法と従来法による動物プランクトン成長速度を比較した(課題②)。核酸比法はタンパク質あたりの成長の指標となるものの、従来から利用されてきた乾燥体重あたりの成長の指標とはならないことが分かった。このため、核酸比法は動物プランクトンのタンパク質あたりの生産速度を迅速かつ簡便に評価することができるが、これまで考えられてきた動物プランクトン生産速度と同じように評価できないと考えられる(課題③)。 このようなことから、核酸比法は動物プランクトン生産速度測定法としては問題点が残ることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、あらゆる動物群が共有する核酸および酵素を動物プランクトン生産速度の指標として使い、動物プランクトン生産速度を生化学的に測定する手法を確立しその有効性を明らかにすることを目的とした。このため、まず初年度には核酸を使った手法(核酸比法)に焦点をあて、次の課題に取り組んだ。 ① 汎用性が高く、容易かつ迅速に生産速度を測定できる核酸分析プロトコルを作成する ② 核酸法と従来法による動物プランクトン成長速度を比較する ③ 核酸法における利点・問題点を検証する 研究実績の概要にあるように、いずれの課題も達成したため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、動物プランクトン生産速度の指標として、核酸比法および酵素活性法を対象としている。初年度には核酸法に関する課題を達成できたので、次年度には酵素活性法に関する次の課題に取り組むことにする。 ① 汎用性が高く、容易かつ迅速に生産速度を測定できる酵素活性分析プロトコルを作成する ② 酵素活性法と従来法による動物プランクトン成長速度を比較する ③ 酵素活性法における利点・問題点を検証する また、これらの研究が予想以上に進展した場合には、天然動物プランクトンへの利用策についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
酵素活性分析に使用するはずだった薬品について、製薬メーカーの都合で生産・納入が遅れた。当該年度に納入できるように待機したが、1月下旬になっても納入されなかったため研究計画の一部を中止し、次年度以降にこの薬品を納入することにした。従って、初年度に購入予定だった薬品類に加え、この薬品を使った実験を実施するのに必要な消耗品類を購入するための経費が余ったためである。 初年度に納入できなかった薬品は、今年度の早い段階で納入予定なので、そこで使用する予定である。また、この薬品は今後も継続的に使用する予定であるが受注生産であるため、納入が遅れないように交付申請書を提出直後(5月上旬)に発注することで、納入が遅れないように努力する。
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Research Products
(4 results)