2015 Fiscal Year Annual Research Report
北極成層圏エアロゾルの揮発特性と輸送過程に関する研究
Project/Area Number |
25340020
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
白石 浩一 福岡大学, 理学部, 助教 (80299536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 政彦 福岡大学, 理学部, 教授 (50228590)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 成層圏エアロゾル / 不揮発性粒子 / エアロゾルゾンデ / 北極成層圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年1月に実施したエアロゾルゾンデを用いた不揮発性成分の粒径分布の観測結果の解析を進める(担当者 白石、林)とともに、過去17年のエアロゾルゾンデ長期観測データの解析も継続して行った(担当者 白石)。 2015年1月に実施した揮発性成分の粒径分布観測の結果から、成層圏最下層(11-13km)では、サブミクロンサイズの粒子の数濃度が著しく増加し、粒径分布は、明確な一山分布を示した。この高度域での不揮発性成分の粒径分布は、粗大粒子粒径域に数濃度の増加が見られ、明確な2山モードを示した。不揮発性成分と通常のエアロゾル計測の数濃度の比で表される不揮発性成分の残存率は、微小粒子(0.3μm<Dp<0.8μm)で1-3%、粗大粒子(Dp>0.8μm)で7-25%を示した。これらの結果は、微小粒子のほとんどが硫酸液滴のような揮発性成分からなり、粗大粒子は鉱物や海塩粒子のような不揮発性成分からなることを示唆していた。HYSPLITモデルによるバックトラジェクトリー解析により、高度11-13kmで観測された空気塊が、10日前に低気圧活動に伴い対流圏から成層圏に流入した空気塊であることを示唆していた。 エアロゾルゾンデ長期観測データを用いた解析から、成層圏エアロゾルの粒径分布は、対流圏界面高度から対流圏界面高度+3km、対流圏界面高度+3kmから高度20km、高度20kmより高い高度において明確な違いがあることが分かった。また、対流圏界面高度から対流圏界面高度+3kmにかけての高度域でのエアロゾルの数濃度・粒径分布は、各年の極渦の発達に伴う大気沈降の影響だけでなく、大気の運動に伴った、より低緯度の対流圏上部の空気塊や成層圏下層部の空気塊の流入の影響を強く受けることが分かった。現在、気象場(極渦内での位置や輸送過程、対流圏大気運動など)との関係について継続して解析を進めている。
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