2015 Fiscal Year Annual Research Report
異なる放射線照射条件と多能性幹細胞を用いた次世代DNA損傷ストレス影響研究
Project/Area Number |
25340033
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河合 秀彦 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (30379846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋本 顕 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 准教授 (70432713)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射線 / iPS細胞 / 急照射 / 緩照射 / ゲノム安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
正常ヒトiPS細胞とこれまでに作製したp53遺伝子変異iPS細胞、DNA損傷応答因子発現抑制細胞を用いて、異なる線量率の電離放射線照射と紫外線照射によって誘導される細胞応答機構と分子応答機構を解析し、DNA損傷ストレス応答影響発現メカニズムの解明を試みた。 昨年度までの研究結果から、DNA損傷が生じたヒトiPS細胞は、その他の種類の培養細胞株とは異なる特有のDNA損傷ストレス応答機構を誘導し、様々なDNA損傷に対して高い感受性を示すことが明らかとなっていた。そこで、iPS細胞のDNA損傷修復能について全自動画像撮影解析装置を用いて解析を行ったところ、DNA損傷は効率的に修復されていることが確認された。また、iPS細胞の細胞応答機構についても詳細な解析を行ったところ、iPS細胞では電離放射線で生じるDNA損傷に対しては細胞周期進行停止機構が誘導されないまま、正常p53の発現に依存してCaspase経路が活性化されるアポトーシスが誘導されていることが明らかとなった。また、興味深いことに、DNA損傷の種類によっては、特定の細胞周期においてp53依存的、非依存的にCaspaseを活性化するアポトーシス誘導経路が存在することも明らかとなった。こうした研究の結果は、iPS細胞のゲノム安定性の維持には、p53依存的、非依存的な複数の細胞周期チェックポイント機構と細胞死誘導機構が重要な役割を果たしている可能性を示唆している。本研究課題の結果は、iPS細胞の品質管理や多能性幹細胞や組織幹細胞のゲノム安定性維持機構を解明につながるものと考えられる。
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Research Products
(17 results)