2013 Fiscal Year Research-status Report
堆積物コアを用いた有史以降におけるサンゴ礁生態系の長期変遷の解明
Project/Area Number |
25340060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
藤田 和彦 琉球大学, 理学部, 准教授 (00343377)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 堆積物コア / サンゴ礁生態系 / 生態系長期変遷 / 有孔虫 |
Research Abstract |
本年度は、沿岸環境汚染とサンゴ礁生態系健全度に関する指標の開発と堆積物コアの掘削と基礎データの取得を行った。 指標開発については、沖縄本島西方海域における既存の底生微生物(有孔虫)群集データと環境因子データを整理した。これまでに読谷村から糸満市にかけての沿岸海域の約300地点で表層堆積物中の有孔虫群集を分析しており、それらのデータを整理・統合した。また、調査海域の環境因子データ(水温・塩分・溶存酸素量・底質の粒度組成など)に関する既存資料を検索し、データベースとしてまとめた。来年度は有孔虫群集データと環境因子データの相関についてデータ解析を進めて、サンゴ礁生態系の健全度指標の確立と論文の作成を目指す。 堆積物コアについては、調査地域と費用を検討した結果、埋立地における陸上からのボーリング掘削に計画を変更した。那覇市及び浦添市の計7カ所で5~15メートルの掘削を行い、堆積物コア試料を得ることができた。無水堀による掘削のため、堆積物コアの回収率は90%以上と非常に高い。また、全ての地点で埋め立てられたかつてのサンゴ礁の堆積物を採取することに成功した。これらの堆積物コアを用いて、現在都市化と埋立が進んでいる那覇市及び浦添市における、かつてのサンゴ礁生態系の姿を復元することが可能である。 また、高知大学海洋コア研究センターを利用して、採取されたコアの基礎データの取得を行った。各コアについて、コア断面写真の撮影、蛍光X線分析装置(XRF)による主要元素の組成分析、色相解析を行った。また、全てのコアについて堆積相(粒度・色・含有化石など)の記載を行った。来年度実施する堆積物分析用試料や年代測定用試料の選定に必要な基礎データを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
指標開発については、データ解析の前準備まで完了した。堆積物コアについては、予想以上に良質かつ回収率の高い堆積物コアを採取することができた。また、コアの記載や基礎データの取得も完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、堆積物コアの分析と年代測定を行う予定である。 堆積物コアの分析については、粒度組成、粒子(生物片・鉱物)組成、微化石群集(有孔虫・貝形虫)、微量元素組成を検討する。特に学内の機器分析支援センターの機器を利用して定量的な解析を試みる。しかしながら、まずは予察的に堆積物試料を分析して、どのような分析項目や方法が妥当か試行錯誤しながらやっていく必要がある。本研究は、2名の学部学生に卒業研究の課題として協力してもらいながら進めていく予定である。 有孔虫群集データと環境因子データの相関についてデータ解析を進めて、サンゴ礁生態系の健全度指標の確立と論文の作成を目指す。 3年目は、堆積物コアの分析結果をまとめ、論文の作成や学会での発表を行う。
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