2015 Fiscal Year Annual Research Report
堆積物コアを用いた有史以降におけるサンゴ礁生態系の長期変遷の解明
Project/Area Number |
25340060
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
藤田 和彦 琉球大学, 理学部, 教授 (00343377)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 堆積物コア / サンゴ礁生態系 / 人為影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人為影響下におけるサンゴ礁環境の変遷と人為影響の開始時期を明らかにすることを目的に、有史時代を通じて人口密集域である沖縄本島那覇市地域を対象にサンゴ礁の埋め立て地で堆積物コアを掘削し、堆積学的・微古生物学的・地球化学的・放射年代学的分析をおこなった。最終年度は、昨年度までの分析結果をふまえ、堆積学的・地球化学的・放射年代学的分析をさらに詰めるとともに、研究成果の公表(学会発表、論文作成)をおこなった。 昨年度までの研究成果により、那覇新港地区(No. 5, 6地点)ではグスク時代(11~12世紀頃)の農耕開始に伴ってサンゴ礁海域への陸源砕屑物の流出が始まった可能性が示唆された。詳細な分析の結果、約1000~400年前に堆積した上部層では陸源砕屑物が顕著に増加する傾向がみられず、本研究結果からは沖縄本島における約1000年前の農耕開始がサンゴ礁へ与えた影響は小さかったと考えられる。 一方、那覇市西町地区(No. 7地点)では、約400年前に国場川からの土砂の流入が増加した可能性が示唆された。詳細な分析の結果、放射性炭素年代が約400 calBPを示す層準から上位に向けて含泥率・陸源粒子・炭酸塩鉱物に対するケイ酸塩鉱物比・ケイ酸塩鉱物に特徴的な元素(ケイ素・アルミニウム)の含有量の増加傾向がみられた。これらの結果は、西町地区が約400年前以降に国場川からの土砂によって埋積した可能性を示唆し、当時周辺地域で土砂の堆積による陸地化が進んだという文献記録とも一致する。これらのことは、琉球王国の発展に伴う人間活動(土地改良)の活発化により、河川からサンゴ礁沿岸海域への土砂の流出が増加したことを示唆する。 本研究成果は、有史時代における人間活動がサンゴ礁環境へ与えた影響とその開始時期を明らかにした点に意義があり、今後は考古学との連携をはかり、世界各地のサンゴ礁地域へも同様な研究を展開していきたい。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Buried fossil microatolls off the Kaichu-Doro Causeway, between Okinawa and Henza Islands2015
Author(s)
Fujita, K., Hongo, C., Koutoku, M., Ito, S., Asami, R., and Reimer, J.D.
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Journal Title
Fauna Ryukyuana
Volume: 24
Pages: 13-15
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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