2015 Fiscal Year Research-status Report
化学物質特異的抗体の健康影響マーカーとしての意義とそのエピトープ
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25340064
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
川本 俊弘 産業医科大学, 医学部, 教授 (60177748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 真弓 産業医科大学, 医学部, 准教授 (40457601)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境 / アレルギー / 健康影響評価 / 特異的抗体 / 化学物質 / タンパク質 / プラスチック / 樹脂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で実施している、プラスチック原料モノマーやプラスチック前駆体と血清アルブミン(HSA)との結合体を診断用抗原として化学物質特異的抗体(IgG 及びIgE)を検出し、当該化学物質への曝露を推測する方法が平成27年6月12日に特許承認された(特許第5757519号)。 また、エポキシ樹脂作業者19名を対象に、エポキシ樹脂原料で処理したHSAに対する特異的IgGを測定したところ、皮疹ありの10名作業者のうちの8名が特異的IgG 陽性(感度:8/10 = 80%)、皮疹なしの作業者の9名の内の6名が特異的IgG陰性(特異度:6/ 9 = 67%)であった。この結果に平成25年度本研究内容を加えたものをBMC Public Healthに発表した。 さらに、平成27年度は本方法の再現性について検討した。具体的には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)、無水フタル酸(PA)、トルエン-2,4-ジイソシアネート(TDI)、p-フェニレンジアミン(PEA)、ホルムアルデヒド(FA)、グルタルアルデヒド(GA)の6物質でヒト血清アルブミン(HSA)を処理して種々の化学物質- HSA付加体を作製した。処理は反応溶液のpHを6.0、8.0、10.8の3濃度、化学物質:HSA比を1:0(コントロール)、1:1、1:10、1:100の4つの組み合わせで、計12種の診断用抗原を作製した。それぞれの診断用抗原を用いて、3名の血清中の化学物質特異的抗体の半定量測定を異なる3日繰り返して行った。結果として、一致率は85.2%、わずかな違いは10.0%で、ワンポイント以上の差異があったのは3.8%であり、本方法の再現性が高いことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、研究代表者の川本が開発した化学物質特異的抗体検出法を本研究にて改良を加え、特許取得を達成した。また、樹脂作業者を対象としたパイロット調査において本方法が有用であることを論文発表し、国際的に評価を得た。さらに、本方法の再現性も非常に良好であることを確認した。平成26年度の時点で、 (プラスチック)原料を取り扱う作業者、アレルギー患者、学生、一般人(年齢20~40歳程度)など2,000名を上回る方から自記式質問票による健康や生活環境に関する情報と血清を集めが終了しており、本研究はおおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は前年度に引き続き調査対象者血清中の化学物質特異的抗体の測定を行う。トルエン-2,4-ジイソシアネート(TDI)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)、無水フタル酸(PA)、p-フェニレンジアミン(PEA)、ホルムアルデヒド(FA)、グルタルアルデヒド(GA)、アセトアルデヒド、無水マレイン酸、メチルアクリル酸等の樹脂(プラスチック)原料を対象物質とする。 次にこれを診断用抗原として、樹脂(プラスチック)原料を取り扱う作業者、アレルギー患者、学生、一般人(年齢20~40歳程度)など500名以上の参加者の血清中の化学物質特異的抗体をドットブロット法により半定量する。 この結果を解析して化学物質ごとの特異的抗体保有率を明らかにする。さらに、対象者の募集、血清中化学物質特異的抗体の測定、総IgG,・総IgE・花粉や食材等に対する特異的IgEの測定、さらには生活とアレルギーに関する質問票調査の回答と組み合わせて、化学物質特異的抗体とアレルギーとの関係などについて統計学的に検討を行い、化学物質特異的抗体の健康影響評価における意義について解明する。
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Causes of Carryover |
残額が22,910円と少額であったため、物品費の購入に使えなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の交付金と合わせて、物品費の購入あるいは人件費として使用する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Life-Long Implications of Developmental Exposure to Environmental Stressors: New Perspectives2015
Author(s)
Grandjean P, Barouki R, Bellinger DC, Casteleyn L, Chadwick LH, Cordier S, Etzel RA, Gray KA, Ha EH, Junien C, Karagas M, Kawamoto T, Paige Lawrence B, Perera FP, Prins GS, Puga A, Rosenfeld CS, Sherr DH, Sly PD, Suk W, Sun Q, Toppari J, van den Hazel P, Walker CL, Heindel JJ
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Journal Title
Endocrinology
Volume: 156 (10)
Pages: 3408-3415
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Protective role of ALDH2 against acetaldehyde-derived DNA damage in oesophageal squamous epithelium2015
Author(s)
Amanuma Y, Ohashi S, Itatani Y, Tsurumaki M, Matsuda S, Kikuchi1 O, Naka Y, Miyamoto S, Oyama T, Kawamoto T, Whelan KA, Nakagawa H, Chiba T, Matsuda T, Muto M
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 5
Pages: 14142
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] The Japan Environment and Children’s Study (JECS): a preliminary report on selected characteristics of approximately 10,000 pregnant women recruited during the first year of the study.2015
Author(s)
Michikawa T, Nitta H, Nakayama SF, Ono M, Yonemoto J, Tamura K, Suda E, Ito H, Takeuchi A, Kawamoto T, for the Japan Environment and Children’s Study Group
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Journal Title
J Epidemiol 25(6):452-458
Volume: 25(6)
Pages: 452-458
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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