環境汚染物質曝露による学習障害の早期検出のための新生児動物モデルの確立

2013 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25340066
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: National Institute for Environmental Studies
• Principal Investigator: TIN・TIN Win・Shwe 独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究センター, 主任研究員 (00391128)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: 新生児 / 早期検診 / 脳 / 学習行動 / マウス / 環境汚染物質 / 嗅球 / バイマーカー

Research Abstract

発達期における環境汚染物質曝露は、小児、あるいは次世代の健康に対する主な危険要因となる可能性があることが報告されている。これまでに、環境汚染物質の発達期曝露が成人の脳神経系、特に、学習行動に及ぼす影響に関しては一部報告されているが、新生児の学習行動への影響についてはまだ不明である。小児や次世代の健康を維持するためには早期検診による評価が必要であるが、成人の学習、および記憶機能を調べる評価法は多く開発されているが、新生児における影響を評価できる試験方法はまだ少ない。そこで、本研究ではOlfactory-based spatial learning testを用いて、学習能力に対する影響を早期検出できる新生児マウスモデルを確立することを目的とした。H25年度は、Computer-assisted video tracking system を用いて、出生後10日目のBALB/c新生児マウスの学習行動を観察した。最終試験24時間後に解剖を行い、嗅球における神経バイオマーカー(AC3, GOLF)の遺伝子発現変化を調べた。その結果、学習能力が低い新生児マウスの嗅球におけるAC3, GOLF の発現は、学習能力が高い新生児マウスと比べ低い傾向が認められた。これより、新生児における学習行動が評価可能なOlfactory-based spatial learning新生児モデルを確立した。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

H25年度の計画であった新生児マウスモデルを用いた学習能力の評価系が確立できた。

Strategy for Future Research Activity

H26年度には、発達期における環境汚染物質曝露による学習行動を調べるために、H25年度研究で確立したOlfactory-based spatial learning testを用いて、近年大気汚染物質としてその健康影響が懸念されている二次生成有機エアロゾル(secondary organic aerosol; SOA)の発達期曝露が新生児の学習能力や、嗅球や海馬における神経免疫バイオマーカーの遺伝子発現に及ぼす影響について検討する。
H27年度は、SOAの神経免疫毒性のメカニズムを明らかにするために、T cell deficient nude mice を用いて、神経-免疫の相互作用を調べる予定である。