2014 Fiscal Year Research-status Report
新規気相式核酸分解・滅菌装置の効能および安全性評価
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25340071
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡崎 利彦 九州大学, 大学病院, 研究員 (90529968)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新規滅菌機器 / 核酸分解装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生医療に用いる細胞製剤ならびに遺伝子治療製剤の製造加工には、従来の医薬品とは異なる法律規制(GCTP省令、再生医療等新法)ならびに体制整備が必要になってきた。そのためアカデミックを中心に展開されるEarly stageにおける製剤加工施設(Cell processing Center: CPC)での無菌環境の維持は緊急の課題となっている。特に患者からの生体材料を用いる場合や、遺伝子治療ベクター製剤の管理には核酸除染技術が必須となるが、未だ決めてとなる技術が未整備な状況である。そこで本研究では、従来の滅菌方法では達成出来なかった無菌性保証基準(SAL=10-6)とDNAに対する対数減少率LRV>4すなわち除去率99.9%以上を同時に達成するガス滅菌装置を新規に開発し、その実用化へ向けた滅菌対象菌効能評価ならびに核酸分解能評価を実施してきた。従来の代表的な滅菌剤・滅菌法との比較による核酸分解能の評価を行った。つぎに、種々の環境因子の変動による効能への影響評価ならびに発生混合バイオガス成分のサンプリングを実施する為の設置型の評価機器を新たに開発を行った。それにより、実応用機を想定した排ガスのスクラブ処理を加味した系を創出し、そのスクラブ処理後の排ガスの残留有機成分測定による安全性評価を行った。さらには、滅菌・核酸分解作用メカニズムの解明に着手し、その主要有効成分の解明にこぎつけた。これにより今後様々な分野への応用が期待出来る事が明らかになり、現在生体への安全性評価を経た医療機器への応用を目論んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年に確立した滅菌効能評価に対するBiological Indicatorに加えて、平成26年度においては核酸分解能に対する安定した評価体制を確立出来た。これにより現在の新規開発型評価機器の持つ限界効能試験が可能となり、他の滅菌薬・滅菌機器(アイソレーターを含む)との効能比較が可能となった。過酸化水素、次亜塩素酸、過酢酸、UVおよびアイソレーター処理(過酸化水素ガス)による一般規定濃度ではBioanalyzerによる核酸の残留性評価ではいずれも明らかな数百base pairの核酸残留物を認めたが、本件新規開発型滅菌装置による処理では99.9%の完全分解を達成し、かつ数base pair以下の核酸小片に分解されている事が明らかになった。これは従来の滅菌薬・装置では達成されないレベルである。滅菌効果においても、ガス暴露後3~5分という極めて短い処理時間において無菌性保証を達成する事が明らかになった。有効バイオガス成分の環境汚染の予防を目的にスクラブ処理装置を新たに加味し、そのスクラブ処理後の排気ガスの化学物質成分の評価を行ったところ、測定出来た数種類の化学物質についてはいずれも特定化学物質障害予防規則に規定される値以下である事が明らかになった。平成26年度には、この設置型評価用機器を用いる事で、サンプリングによる庫内に発生する有効混合ガス成分分析が可能となり、その結果から滅菌・核酸分解作用メカニズムに寄与すると考えられる数種類のガス成分に的を絞り、その作用機序の解明に着手した。その結果、現在までにその主要有効成分の解明にこぎつけ、独立した実験系によりそのメカニズムの検証を予定している。このように、効能評価から一部の安全性評価に至る検証項目を予定通りに実現させ、そのメカニズム解明にまで進展していることから、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度において新規滅菌核酸分解装置発生混合バイオガスの、その効能に大きく寄与する主要有効成分の解明にこぎつけたことから、今後独立した実験系によりそのメカニズムの検証を行いたい(特許出願検討中)。またその有効成分ガスの連続モニターを実施すべく、現在の設置型評価用機器へのセンサーの組み込みを行いっていきたいと考えている。それにより、最適化条件の絞り込みに繋がる事が期待される。さらに実際の生細胞を用いての安全性の評価を計画する。また実際のウイルスを用いた場合の効能評価を行う為のウイルス増殖系の評価系の確立を行い、Logarithmic Riduction Valueの評価に着手する。実応用を念頭に滅菌スペクトラムの拡大に向け、臨床的に重要な位置づけとなるマイコプラズマならびに非結核性抗酸菌への効能評価に着手したい。
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Causes of Carryover |
平成26年度において核酸分解能に大きく寄与する混合バイオガス中の数種類の化学物質が明らかになった事から、特定された成分の事象から特許出願を念頭に実験室での新たな系を用いた検証を優先し、当初予定していた評価系の機器のセンサー部分の追加改良に変更が生じた事から、その部品予算分に繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たな成分に対するより有効なセンサーを開発しているメーカーを既に探し当て、現行の我々の評価機器への組み込みに最適化出来るように検討中であり、予定通り有効成分のリニアなモニター環境を構築する事により、各評価データーの客観的比較が可能となり、今まで以上にデータ信頼性が向上する事が期待出来る。本年度前半に該当センサーの組み込みを完了させ、順調に本年度の目標を進めていく予定である。
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