2014 Fiscal Year Research-status Report
広範囲時系列環境変動分析に向けた極微量多元素同時分離技術の開発
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25340078
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
宮本 ユタカ 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門・原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (60219821)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イオン交換分離法 / 極微量分析 / プルトニウム / 逐次分離 / 年輪試料 / ウラン / 同位体比分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、樹木年輪試料の極微量元素の濃度および同位体組成変動から長期間の時系列環境変動の記録を読み解く道具として、プルトニウムを含む元素の極微量化学分離から分析まで一連の技術を確立することを目的とする。環境変動により量や同位体比が変わりやすいプルトニウム、ウラン、トリウム、鉛、希土類元素を分離分析対象元素とし、これまでの研究によって開発した逐次分離法を更に発展させ、プルトニウムを含む多元素同時分離技術を開発し、実試料を分析して開発した技術の実用性を評価するまでを目標とする。本年度(26年度)は、研究計画に基づき、年輪試料を試験的に分離、分析して精度や感度から時系列変動が観測できるか性能評価を行った。これに先立ち、プルトニウムのスパイク溶液を使ってプルトニウム分離に最適な溶離液組成の検討を昨年度に引き続き行った。トリウム分離の溶離液の塩酸成分を引き上げることでプルトニウムの溶出を抑えることに成功し、プルトニウムを含めた極微量多元素同時分離技術を開発する目的が達成できた。試験的な分析を行うため、10~20 年毎の年輪で分割した環境試料を構築した全自動化学分離システムで化学分離した。分離試料の元素濃度や同位体比をICP-MSおよびTIMSで分析を行い、分離度が高いこと、外部環境からの汚染混入が少ないことを確認した。プルトニウムの分析に関しては誤差が大きいため、分析条件などの検討が必要であることが分かった。これらの検討した研究成果は、RadChem 2014、第58回放射化学討論会ならびに第16回「環境放射能」研究会で発表し、研究者に広く公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載したとおり、研究の目的に即してプルトニウムを含めた目的元素の逐次分離の最適条件の検討や、年輪試料の試験的な分離・分析による性能評価などが進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に則して、分割した年輪試料を分解処理した後に全自動化学分離システムで逐次分離するとともに、質量分析装置で試料の極微量定量・同位体比分析を行う。加速器質量分析装置を用いたウラン同位体比分析については、装置担当者と試料調製法などについての打ち合わせを行った後、分析を行う。得られた結果をとりまとめて国内外の学会において研究発表を行う。
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Causes of Carryover |
ウィーン大学の加速器質量分析施設を用いた測定依頼を26年度の旅費で予定していたが、試験分析の結果から、分析条件を検討した上で、次年度(平成27年8月)の国際学会発表に出張に合わせて行う方が分析旅費を効果的に使用できるため、27年度に変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ウィーン大学の加速器質量分析施設を用いた試料分析の測定依頼料、担当者との打ち合わせのための旅費、消耗品費に用いる。
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Research Products
(3 results)