2013 Fiscal Year Research-status Report
難培養性微生物を標的としたハイスループット分離・培養・代謝機能解析システムの開発
Project/Area Number |
25340087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
重松 亨 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (10315286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 晃徳 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助教 (60599786)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 微生物分離培養技術 / メタン発酵 / 酢酸利用微生物 / マイクロプレート |
Research Abstract |
自然環境中に生息する微生物のなかで、従来の培養技術で分離培養可能なものはわずか1%に過ぎない。本研究では、96-wellマイクロプレートを用いた分離培養技術を用いて培養可能域の拡大を行い、これにキャピラリー電気泳動質量分析器によるメタボローム解析技術を組み合わせることで、難培養性微生物を標的としたハイスループット分離・培養・代謝機能解析システムを構築することを目的とした。 平成25年度は酢酸利用嫌気性微生物および微生物共生系の分離培養を行った。メタン発酵プロセスの槽内液を酢酸を唯一の炭素源とする無機塩培地にて10の5乗倍、10の6乗倍にそれぞれ希釈した細胞懸濁液を96-wellマイクロプレートに分注し、47日間嫌気培養した。各wellの培養液を鋳型として、Archaeaの16S rRNA遺伝子を標的としたNested PCR法を行った結果、10の5乗倍希釈した槽内液を分注し培養したプレートの26 wellにおいてPCR増幅が認められた。増幅断片をRFLP法およびクローン解析法により解析した結果、25 wellにMethanosaeta属が、1 wellにMethanosarcina属がそれぞれ増殖したことが示された。一方、10の6乗倍希釈した槽内液を分注し培養したプレートでは、9 wellにおいてPCR増幅が見られた。7 wellにMethanosaeta属が、1 wellにMethanosarcina属が、1 wellに未同定のArchaeaがそれぞれ増殖したことが示された。今回得られた結果は、同条件で運転するメタン発酵プロセスの16S rRNA遺伝子を解析した既報とよく一致しており、本研究の結果、培養法によりメタン生成Archaeaの群集構造を明らかにできる実験系の確立に成功したと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロプレート分離培養法により、【検討項目1】特定基質の代謝に関与する嫌気性微生物および微生物共生系の分離培養。および、【検討項目2】分子生物学的手法による分離培養した微生物および微生物共生系の分類情報の取得手法の確立、については予定通りに進捗した。【検討項目3】メタボローム解析による分離培養した微生物および微生物共生系の代謝機能情報の取得手法の確立、については若干進捗が遅れているが、解糖系の代謝産物を対象としたCE-MS分析手法の最適化が終了し、嫌気条件での酢酸の代謝産物の分析のための準備が整った状況である。従って、研究目的に対して概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は【検討項目3】メタボローム解析による分離培養した微生物および微生物共生系の代謝機能情報の取得手法の確立、を中心として研究を進める予定である。特に、代謝産物の質量スペクトルのデータベースの蓄積を完了させ、、ハイスループットに酢酸の代謝経路を分析する手法の確立を目指す。【検討項目1】および【検討項目2】については、分離培養法についての細かい実験手法の最適化と微生物分類情報のデータベースの拡充のための検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、【検討項目3】メタボローム解析による分離培養した微生物および微生物共生系の代謝機能情報の取得手法の確立、について、CE-MS分析条件の最適化が遅れたために、研究進捗が遅れた。これにより、物品を中心とした使用額を次年度にまわすこととした。また、研究成果がまとまった時期が年度末であったため、学会発表を行うことができず、予定していた旅費等も次年度にまわすこととした。 【検討項目3】における、メタボローム解析に係る物品費を中心として使用する計画である。また、【検討項目1】および【検討項目2】の分離培養法最適化と微生物分類情報のデータベースの拡充のための、物品費ならびに委託費として使用する。また、学会発表等も積極的に行うための旅費としても使用する。
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