2015 Fiscal Year Research-status Report
架橋分解と極性変換を利用する光剥離性接着・粘着材料の開発
Project/Area Number |
25340095
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
陶山 寛志 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (90305649)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光分解 / 粘着剤 / 接着剤 / 架橋 / 分解 / 剥離 / リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに合成に成功した光分解性架橋剤の分解挙動の解明のため,UVレオメータによる粘弾性パラメータの解析を引き続き行った。その結果,モノマーであるアクリル酸n-ブチルに光分解性架橋剤,増感剤である2-イソプロピルチオキサントンにトルエンを加え,従前より高濃度の架橋剤を溶解できる混合液を作成し測定したところ,貯蔵弾性率,損失弾性率,および複素粘度といった粘弾性パラメータが,一旦上昇したのち下降する挙動が確認できた。この結果は光照射と光分解が連続して進行したことを示しており,一度の測定で両方の挙動が連続して観測できた初めての例であると考えている。 これらの挙動は,溶媒使用のため全体に変化が小さかったので,さらに組成比と液調整のプロセスを改良したところ,無溶剤系でより顕著なパラメータ変化を観測することにも成功した。 以上の系では,応用範囲の広い近紫外光での感光性を持たせるために増感剤を使用していた。しかし増感剤を硬化・架橋した系で光反応部位まで届かせるためには一定濃度以上を添加する必要がある。そのため,7つの芳香環が連なった芳香族ケトンを原料とするアシルオキシム型光分解性架橋剤の合成に着手し,単離と同定がほぼ完了した。 一方,光極性変換型モノマーは精製途中での重合を回避することにいまだ成功せず,こちらのアプローチを進展させることはできなかった。この点を踏まえ,分子設計の見直し,および高分子反応など合成経路の変更を検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,光分解性架橋剤と光極性変換モノマーの併用で光剥離を実現する予定であったが,前者については計画以上の進展があったものの,後者は依然として単離できておらず,やや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
光極性変換については,当初計画のように一旦モノマーを合成してから重合するアプローチは困難である可能性が高まったことから,1.別の分子設計を行う,2.高分子反応など別の導入方法を検討する,ことで接着・粘着剤に組み込み,光剥離の基礎評価までは行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
急逮. 4 月初旬に開催される国際会議で発表することにしたため。 また研究においても,研究課題の「架橋分解」に関しては予定以上に進行しているが, ついては実験を追加したいため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月の国際会議を含めた学会発表と論文発表,および実験遂行のための試薬やガラス器具の購入に使用する予定である。
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