2015 Fiscal Year Research-status Report
表面吸着因子の解析による生分解性材料の生分解性制御に関する研究
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25340097
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山野 尚子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (20358279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 敦好 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (10357676)
川崎 典起 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (70344158)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生分解性ポリマー / ポリアミド / 生分解性制御 / 疎水性 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年計画の最終年度として、主としてタンパク質吸着能評価法の検討、実環境でのポリマーの生分解試験を行った。 評価法:吸着能を評価するため、QCMを用いる方法と酵素活性を利用する方法を検討した。QCMによる吸着能評価は、電極上のポリマーの表面積を大きくすることによる改善を試みたが、吸着量が少なく定性的な評価は可能であったが定量的に評価することは難しかった。ポリマーに吸着したタンパク質を酵素活性で評価することを検討した。ポリマーにはPA4とナイロン6を用いプロテアーゼの吸着と酵素活性を測定した結果、PA4はナイロン6と比べるとタンパク吸着量が多くまた吸着された酵素は活性を残していた。ステアロイル基を付加したPA4(C18PA4)のタンパク吸着量、酵素活性はPA4より低かった。 分解試験:PA4およびC18PA4の実環境(土壌、海洋、生体内)での分解試験を行った。PA4は土壌や海洋中でも容易に生分解されたが、末端にステアロイル基を持ち表面構造が異なるC18PA4は環境中でも生分解が抑制されていた。生体内でのPA4の生分解試験はラットの背面皮下の不織布を埋入、回収したポリマーをNMR分析しその重量を求めた。その結果環境中だけでなく生体内でもPA4が生分解されること、C18PA4の生分解は抑制されていることを確認した。しかし生体内の生分解はポリマーの形状に大きく影響されるため今後より詳細に検討する必要がある。 界面活性剤の効果:生分解性ポリマーの末端に長鎖脂肪酸を付加することにより生分解性が抑制されその効果はポリマーの疎水度と相関を持つという結果が得られているため、生分解系に界面活性剤を共存させその効果を検討した。具体的にはC18PA4を活性汚泥、土壌、海水で分解試験する際にアニオン界面活性剤を添加した。その結果、界面活性剤を添加することにより生分解が抑制されていたC18PA4が生分解されるという結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね目標通りの進捗状況である。タンパク質吸着能の評価に関して、プロテアーゼ活性を指標としてタンパク質の吸着を評価できた。QCMは表面積を増やし感度を上げることを検討したがまだ満足なデータは得られていない。様々な性質のポリマーが実際に実環境でどのように生分解を受けるのか、土壌、海洋、生体内で生分解試験を行った。界面活性剤の効果についての新たな知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
表面吸着解析に関してQCMでの測定法の改良を重ねているが満足出来るデータはまだ得られていないため、更に改良するか他の測定法を検討する。また生分解抑制効果に界面活性剤が影響するという結果が得られたため、当初の実験計画には含まれていないが、界面活性剤存在下での長鎖脂肪酸付加の効果を検討する。
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Causes of Carryover |
分析方法の検討を重ねているがまだ確立出来て居らず、分析のための研究費を予定通りに使用することが出来なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き検討を行う一方、他の分析法での評価を検討する。新たに見出した界面活性剤の効果のついての実験に使用する。
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