2014 Fiscal Year Research-status Report
海-運河-河川を通し回遊する生物の動的な生息場適正を評価するシステムの開発
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25340113
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
古川 恵太 横浜国立大学, 統合的海洋教育・研究センター, 客員教授 (00356031)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マハゼの空間分布 / 閉鎖性内湾の環境評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年6月―10月に引き続き、平成26年6月―12月に東京湾における市民参加型のマハゼの住み処調査を実施した。前年度の16か所より調査場所が集中され、(田浦港、平潟湾、鶴見川、多摩川、京浜運河、隅田川~旧中川、荒川河口、境川、江戸川放水路、三番瀬、市川市)の11か所において延べ120調査、約2,800匹分の全長データを得た。特に、重点的にモニタリングするサイトとして、平潟湾、帷子川、多摩川、京浜運河、横十間川、朝潮運河、浦安(境川)において多くのデータを取得した。これらのデータを精査し、成長パターンを分類したところ、昨年同様に3類型に分類されるとともに、夏に発生したとみられる個体群の存在が推定された。 水圏環境を再現する数値モデルの改良および、評価手法の概念設計を進め、水域・海域を浅場・運河・湾内・深場の4つに分類し、数か月ごとの生活史を整理した。これにより、水質の変化とマハゼの移動パターンの概念図が構築された。この概念図の再現を目標にモデルの校正を行っていく。再現する水質の分布についても、本年度、帷子川、多摩川、京浜運河、横十間川、朝潮運河において空間計測を行い7月、8月、9月、10月、11月、12月の水質データを整理した。評価手法については、HISモデルを基本とした評価スキームに、時間的な変化、空間的な広がりを評価する項目を追加するアイデアを試行中である。 調査結果については、東京湾海洋環境研究会シンポジウム、東京湾再生会議モニタリング分科会・東京湾再生官民連携フォーラム共催ワークショップ、台江湿地環境教育研討会議(台湾)などにおいて口頭発表した他、日本沿岸域学会に関連論文を発表した。また、成果の一部は「東京湾環境マップ Vol.9」等に収録され、広く一般に公開・周知した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に記されている生物の資源量の簡易測定法の開発の内、マハゼについては、個体数・全長分布だけでなく、水質関連のデータも含め、予定を上回る資料の収集が進められており、たいへん順調に実施できている。しかし、ウナギについては、横浜において試行調査を実施したものの、ウナギが採捕されずデータが得られなかった。モデルの改良、評価手法の拡張については、おおむね予定通りの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画については、当初予定通り変更せず、研究を推進していく。ただし、ウナギについて2年連続でデータが取得できなかったため、当面モデル化・評価の対象魚種をマハゼに重点を置く。特に、生物生息状況の把握においては、選定された場における周年の観測を実施するとともに、年度間の変化を追跡できるよう、マハゼの継続モニタリングを実施していく。モデルの構築においては、整理された実測水質データ、構築された概念図をターゲットとして、実証計算の実施、精度向上を図っていく。評価手法については、時空間的な広がりを持った説明変数間の相関関係に着目し、手法確立を目指す。
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