2014 Fiscal Year Research-status Report
人間活動が都市生態系の窒素循環に与える影響の診断手法の開発と予防的治療策の探求
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25340122
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Research Institution | Institute for Global Environmental Strategies |
Principal Investigator |
劉 晨 公益財団法人地球環境戦略研究機関, その他部局等, 研究員 (70425495)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地域窒素収支 / 都市化 / ライフスタイル / 生産スタイル / 環境影響評価 / 食生活 / 人間活動 / 持続性 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度には、都市生態系における窒素フローモデルを構築し、北京市および上海市を例に、 -1980-2010年の各年の人口、各産業の生産量・生産額、家庭消費などの統計データ、大気・水域観測データ、産業連関表、住民日常生活調査を元に、窒素収支に関するデータベースを構築した; -家庭食料消費や農業生産などの統計データに合わせて、地域窒素フローモデルに関わる諸パラメータ(1人あたりの窒素摂取量/排出量、人間の排泄物による環境への窒素負荷量、排泄物の循環率、農副生産物の循環率など)を同定した; -産業連関分析に基づき、上海市における社会経済活動および産業構造の変化にともなう廃水・水質汚染物質排出量の変化を明らかにし、国際誌Water Environment Researchに論文「Recent Trends in Wastewater Flow and Pollutant Loads due to Urbanization in Shanghai」として発表した; -産業連関分析、現地調査、統計解析などの学際的アプローチによって、農業、工業、家庭から水域へ流出する窒素負荷量の時系列変化を推定し、急速な都市化による人々の生活スタイルと生産スタイルの変化が都市生態システムの窒素循環にどう影響を及ぼすかを定量的に評価し、物質循環の視点から地域環境問題の診断を行った。これらの研究成果は環境科学会での口頭発表(「北京市の都市化が地域窒素収支に及ぼす影響評価と循環型社会にむけた対策提」)や環境科学会誌での論文発表(「上海市の都市化が地域窒素収支に及ぼす影響の解析と対策提案-社会経済要因を物質循環に結びつけて-」)によって公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
深刻な日中関係の下で、社会調査やデータの入手などが厳しくなり、また、二度の転職もあって、本年度中は現地に足を運ぶことはできなかった。しかしながら、統計資料や先行研究や文献により、北京市や上海市における窒素フローの変化を解析し、国際誌に論文発表できたため、おおむね順調に進展していると言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度にはいままでの「診断結果」に基づき、環境共生型/循環型都市システムに向けて、予防的治療策を提言する予定である。また、最終年度ということもあり、現在、中国にいるカウントパートナーと密接に連絡を取りながら、現地調査および現地報告会を実行するように調節している。
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Causes of Carryover |
H26年度は2度の転職があったため、予定していた現地調査が実施できず、27年度に実施する必要があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H25に実施したアンケート調査の補完調査、および現地報告会を6~9月の間に実行する予定。
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Remarks |
特になし。
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Research Products
(5 results)