2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノセルロース分散高性能バイオポリオールの創製と機能性ポリウレタン発泡体への応用
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25340123
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉岡 まり子 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (30220594)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオマス / グリセリン / 液化 / ポリオール / アルキレンオキシド / ポリウレタン発泡体 / 二塩基酸無水物 / 低置換ヒドロキシプロピルセルロース |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度として、今年度の課題及び前年度までの検討過程で派生した課題も含めた総括的研究を行い、以下に列記する結果・知見を得た。(1)バイオマスのグリセリン液化に関し数多くの条件実験を行い、液化とウレタン樹脂発泡反応に益する実験条件を確立した。液化反応生成物中の中和塩の存在はウレタン化反応に悪影響を与える。その解決のために固体酸触媒による液化を広く検討し、実際性の見込める定量的知見を得た。液化生成物はポリオールであるが、それらへのアルキレンオキシド(AO)付加反応についても我々のこれまで行ってきた検討も踏まえ合目的な知見を得た。特にAO付加により生成物の粘度を格段に低減させ得たが、これはセルロースナノファイバー(CNF)添加による液化物の顕著な粘度上昇を補填して余りあるものがあり、本研究の達成に本質的に寄与する結果であった。(2)液化媒体をグリセリンへのAO付加物とするバイオマス液化との比較検討を行い、液化は進め得、生成物の水酸基価は設計し得るという長所と粘度が割高になるという短所が認められた。(3)ポリウレタン発泡体強化用として二塩基酸無水物モノエステル化を中心とする化学修飾CNFを調製し、それらによる物性向上を実現させることができた。(4)上記(1)及び(2)の場合ともども、生成物を多価イソシアネートと反応させ実用物性のウレタン樹脂発泡体を得ることができ、各種特性化を行った。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを用いる特異なCNF強化の知見も得られた。(5)連通性の高い機能性ポリウレタン発泡体も実現でき、関連の特性化を行った。(6)欧米で行われているバイオマスをAO、特にプロピレンオキシドを媒体として液化処理する場合との比較を行い、ウレタン樹脂用バイオポリオールを得ることについて当該研究における調製法の優位性を明らかにした。
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