2014 Fiscal Year Research-status Report
カーボンフットプリント・コミュニケーションツールの開発とその効果の考察
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25340132
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
永野 宏治 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90212109)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カーボンフットプリント / ライフサイクルアセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
130種の食品と日用品について,コープさっぽろと共同してカーボンフットプリント(CFP)を計算した。CFPの狙いとCFPの具体的な数値を,食品の栄養表示と連係して消費者に伝えるしくみを作った。行った取組は以下である。(1)CFPの計算の手作業を軽減するようにCFP計算システムを改良した。この改良したCFP計算システムにより多数の商品を短時間で計算できるようになり,店舗内で多数のCFP付き商品を並べることが可能になった。CFP計算の初心者である学生でも1つの商品を約20分で計算できるようになった。(2)コープさっぽろのプライベートブランド「なるほど商品」を中心にして130種の食品と日用品についてCFPを計算した。(3)コープさっぽろのプライベートブランド「なるほど商品」では,食品栄養表示とCFPを一緒に表示した包装材を作成した。包装材のデザインを単純にして,CFPと栄養表示に目が行きやすいようにした。(4)食品栄養表示とCFPをまとめた小冊子の製作し配布した。 この新しいCFPを伝える取組を実施する前の2014年9月27日に,札幌市内の展示会(食べるたいせつフェスティバル)でCFPの認知度を調べた。来場した消費者82人に尋ねたところ,67人がCFPを知らなかった。 CFPの数値の基準を計算する手法として,ウェブ上のデータを自動採取して,CFPの大まかな数値を求める手法を開発している。データマイニングと機械学習を組み合わせて,CFPに係わるデータを採取する計画である。CFPの厳密な値を求められないが,CFPの値の分布を求めて,当該製品のCFPの値の意味を消費者に提示するようにする。 イギリスのマンチェスター大学Azapagic教授の研究室に博士課程の院生を派遣し,イギリスにおけるCFPの現状を調査させた。また,データマイニングと機械学習によるCFPの計算方法について議論させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
温室効果ガスの削減を消費者に,CFPを使って考えてもらうために,食品の栄養表示とCFPを組み合わせる手法に取り組んだ。この取組では,CFP計算システムの改良,商品の包装デザインの改良,パンフレットの製作などを,具体的に実現している。開発したCFP計算システムを使うと,初心者の学生でも1つの商品を約20分で,CFPを計算できるようになった。 CFPを消費者が身近に確認できるように,携帯端末でCFPを表示するシステムを開発した。 このように,CFPに係わる計算機システムの開発,消費者への取組の実施を,着実に行っているので,達成度は,おおむね順調と評価した。課題は,成果を論文にまとめる作業が滞っている点である。
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Strategy for Future Research Activity |
消費者におけるCFPの認知度を調査する。2014年9月に札幌の展示会で調査した。2014年度に,食品の栄養表示とCFPを組み合わせて消費者に訴える取組を実施した。2015年8月に同じ展示会において,同じ手法でCFPの認知度を調べ,2014年の取組の効果を検証する。室蘭においても,同じ手法でCFPの認知度を調査する。 CFPの値の意味を示す手法として,CFPに関するウェブ上のデータを自動採取して,CFPの大まかな数値を求める手法を開発する。これを実現するためのデータマイニング手法を開発し,システム化する。さらに,CFPの分布と当該商品のCFP値を消費者に提示して,その反応を調査する。 CFPを携帯端末に表示して,CFPを身近に確認できるシステムの消費者の評価を調べる。 これらの成果を論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
CFPの認知度調査に,人手を使ってアンケート調査を実施する計画であった。しかし,人を集客でき,アンケート調査が可能な,展示会に安価で出展できたため,使用額に差額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データベースへの多量のデータを入力する作業がある。そのために,システムの準備に計上する計画である。また,論文を準備しているので,それの印刷代にも計上する。
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