2015 Fiscal Year Annual Research Report
自然公園の野趣性を保護するための管理計画に関する研究
Project/Area Number |
25340133
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山本 清龍 岩手大学, 農学部, 准教授 (50323473)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
愛甲 哲也 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30261332)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 十和田八幡平国立公園 / 三陸復興国立公園 / 富士箱根伊豆国立公園 / みちのく潮風トレイル / 登山 / ハイカー / 野趣 / 混雑 |
Outline of Annual Research Achievements |
十和田八幡平国立公園では,岩手山で実施した登山者調査結果を解析した結果,他の山岳に比べて単独登山者の割合が高く,一人で自然と向き合う機会が確保されていた。また,単独登山者に特有の行動特性,意識をふまえて山岳遭難事故のリスクと対策を整理し,公園の管理計画のあり方について検討した(久保・山本,2015)。 次に,富士箱根伊豆国立公園では,世界遺産富士山の登山者管理の視点から野趣性を検討した。2014年の夏季登山者調査結果から,一人で登山する単独登山者は少なく,一人で自然と向き合う機会の確保の必要性が示唆された。また,富士山の頂上付近への登山目的の集中,登山者が登山方法や危険だけでなく,混雑に関する情報提供,強化を期待していることを明らかにし,これらの情報は国立公園の公園計画に活用できると考察した(山本,2015)。一方,世界遺産構成資産に指定された三保松原においても2015年7月に来訪者調査を実施した結果,神聖性に関する価値を来訪者に伝えること,自然環境の保全が必要であることなどが示唆された。とくに,現在の三保松原の課題の一つである過剰利用の問題が,一部の利用者の神聖性に関わる印象評価を低下させている恐れがあり,来訪者管理について検討する必要があることが示唆された(大竹・山本,2015)。 最後に,三陸復興国立公園では,種差海岸を事例として取り上げ, 2014年夏季に長距離トレイルの利用に関する来訪者の意識を把握した。その結果,属性や行動,意識の特性から来訪者像の輪郭が明らかとなった。また,概してトレイルの認知度は低く,広報,普及啓発の必要性が示唆された一方,国立公園を歩くことが自然の脅威に関する学びの機会となりうることなど活用にむけた可能性と課題を考察した。野趣性の観点からは,来訪者のおよそ4人に1人は歩く際に静かで落ち着いた雰囲気を重視していることを明らかにした(坂・山本,2015)。
|
Research Products
(7 results)