2014 Fiscal Year Research-status Report
日中韓における都市鉱山政策の妥当性評価-自動車電装品を事例に-
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25340134
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
劉 庭秀 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (70323087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸敷 浩介 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (00542424)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都市鉱山政策 / 自動車リサイクル / 電装品 / 小型家電 / 政策評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年は、昨年から各自治体に導入されつつある小型家電リサイクル制度の運用状況と自動車電装品の再資源化に向けた最新動向について実態調査を行った上、自動車電装品の回収、解体、再資源化実験を行った。国内では小型家電リサイクル制度を導入した自治体と認定事業者が連携して再資源化を進めているが、殆どの認定事業者は、自動車、家電リサイクルを始め、破砕・選別設備を備えている大手リサイクル業者である。そして、現在、全国で約40社の小型家電リサイクルの認定事業者があるが、今年は約半数の事業者と導入自治体の現地調査を実施した。そして、韓国ソウル市のSRセンター(ソウル市の委託で都市鉱山事業を実施している社会的企業)の現地調査を行うことによって日韓比較分析を試みた。 まず今回の調査では、自治体における一般廃棄物の分別ルール、制度運用方針、処理設備の違いなどによって取り組みの内容と実績が大きく異なることがわかった。しかし、実際の小型家電リサイクルプロセスにおいて自動車電装品が処理される割合は高くないのが現状である。特に自治体と障害者施設との連携による資源化効率向上、ネット流通会社と宅配便業者との連携による回収効率向上、既存業者の最新選別装置導入による貴金属回収、24時間無人回収システムによる集荷範囲の拡大等々、都市鉱山事業の高度化を向けたリサイクル事業者の努力と新しい可能性も見えてきた。 さらに、廃自動車由来の高品位電装品であるエンジンコンピュータ及びエアバッグ基板類の回収、解体、資源化実験を実施し、解体時間、人件費、作業の容易さなどの違いが、一般従業員、重機、障害者施設を使うことによってどの程度違うのか、採算性を取るためにはどのような作業方法とプロセスが妥当であるのかについて比較分析・考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に続いて、二年目の現地調査及び資源化実験も概ね順調に行われており、着実に国内外の学会、国際会議などを通じて研究成果を報告している。中国の現地調査が遅れているが、今年中には中国の最新動向と現状を把握する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
中国の経済成長が鈍くなっていることから、中国内の都市鉱山事業も停滞しており、中国の現地調査が遅れている。中国現地に進出している日本の大手商社へのインタビュー調査を実施したが、最終年度には中国の現地調査を実施する計画である。また、韓国では2番目の都市鉱山化施設(韓国南部のウルサン広域市)が稼働を始めており、こちらの施設への現地調査を実施し、日中韓における都市鉱山事業の比較分析を完結する計画である。 そして、今年は自動車メーター類、 スウィッチ類、オーディオ類などについても回収、解体、再資源化実験を行う計画を立てている。また、小型家電リサイクル認定事業者、実施自治体の追加現地調査を継続実施し、自動車電装品を含む小型家電リサイクルの採算性が確保され、円滑な再資源化を行うためにはどのような広報活動(市民向け)、資源化プロセス、政策的な仕組みが必要であるかについ具体的な考察を行う。さらに、今までベースメタル、貴金属類に注目していたが、プラスチック類を含めた総合的な経済性・環境影響評価を試みる。 これらの研究成果は、The 2nd 3R Scientific Conference(5月、韓国大田広域市)、日本地域政策学会(7月、神奈川県明治大学)、日本マクロエンジニアリング学会シンポジウム(8月、宮城県塩竃市)、8th Asian Automotive Environmental Forum(10月、秋田県秋田市などにて発表する予定である。
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Research Products
(11 results)