2014 Fiscal Year Research-status Report
環境イノベーションに向けた協働型研究の推進メカニズムに関する基礎分析
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25340142
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 圭史郎 大阪大学, 環境イノベーションデザインセンター, 特任准教授 (30393036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊澤 輝一 総合地球環境学研究所, 研究高度化支援センター, 助教 (90464239)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学際協働 / メゾレベル思考 / オントロジー / サステイナビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
持続可能社会の形成を促進していくためには、有望な研究シーズや要素技術を俯瞰したうえで、これらを効果的かつ戦略的に持続可能社会ビジョンに繋げていくことが重要である。そのためには、研究者レベルで言えば、個別技術の開発や先鋭化に注力をする研究者(シーズ側研究者)と、多様な技術シーズをマクロレベルの社会ビジョンや様々な社会システムとの関係で評価し、構造化することのできる研究者(メゾレベル思考を持つ研究者)とが協働を進めていくことが極めて重要な鍵となる。本研究ではまず、シーズ側研究者とメゾレベル思考を持つ研究者との間の様々な差異(例:問題設定のフレーミングや研究手法、研究動機の差異等)を明らかにし、その差異を埋めつつ双方の協働を効果的に促していくための方法論の特定と、これらの協働を支える仕組み(制度)を提示することを目的としている。 平成26年度は、上述したような研究者間の様々な差異を把握し、効果的な学際協働の可能性や協働促進の方法論を探ることを目的としてアンケート調査票の設計および研究者に対するアンケート調査の実施を行った。例えば、採用している研究手法、学際協働研究に参加する場合のモチベーションや学際協働における壁など、研究者の「認識」を体系的に捉えるための調査票をデザインした。本調査票を学内外のシーズ側研究者およびメゾレベル思考を持つと考えらえられる研究者に広く配布し、回収された調査票から得られたデータ・情報について現在解析を進めている。同時に、シーズ側研究者とメゾレベル思考を持つ研究者との間での協働を再現するための「オントロジー実験」の実施に向けて準備を進めてきた。この実験については、学内外の研究者の参加を得た上で、平成27年の5,6月中に複数回実施する予定である。 また、本研究課題に関連する研究成果等については、学会等で広く発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度についても概ね実施計画に基づいて研究活動を進めた。具体的には、視点・フレーミングや研究動機等における研究者間の差異を明らかにし学際協働のメカニズムを探るための体系的なアンケート調査票を設計するとともに、この調査票を学内外の研究者に広く送付し調査を進めた。現在、これら回収された調査票から得られるデータ・情報を基に、分析を進めているところである。 また、シーズ側研究者とメゾレベル思考を持つ研究者との間での協働や共同研究の状況を再現するための参加型実験のプロセスをデザインし、実験の実施に向けた準備を整えた。具体的には、異分野の参加研究者が、共同研究テーマや共同研究の方法論を討議・提案する過程において、オントロジーの活用がどのような効果を持ちうるか、その有効性を把握するための実験プロセスをデザインした。異なる専門性を持つ学内外の研究者4名×2班(計8名)の参加のもと、各班で2度ずつのオントロジー実験を行うことにしており、参加研究者の選定、実験ストーリーの作成、実験のための条件設定などを明確化した。なお、本実験に参加する研究者の日程調整の関係から、実験自体は平成27年度にずれ込んでいるものの、27年度早期(5,6月)に複数回実施するべく準備を整えている。 以上のように、ほぼ計画通りに研究を進めており、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度はアンケート調査の結果を基に体系的な分析を進め学際協働研究の促進に向けた知見を取りまとめる。また、オントロジー実験を27年度前半には完了し、実験から得られた知見についても総合的に分析・整理を行う。 同時に、研究計画に基づき、欧州の学際型大学院で研究・教育プログラムの運営に中心的役割を果たしている研究者を訪問し、学際研究を促進するための様々な仕組み(研究者への協働インセンティブの付与、学内評価システムなど)等についてヒアリング調査を実施する。 以上、1)アンケート調査、2)オントロジーを用いた参加型実験、3)欧州の有力大学(および国内の大学)へのヒアリング調査を基に、シーズ側研究者と、メゾレベル思考を持つ研究者との間の学際協働や共同研究を促進するための方法論と、それらの協働を支えるための大学・研究機関における仕組みや仕掛け、制度設計について、体系的にとりまとめを行う。本研究で得られた総合的知見や提言内容については、有力な学術雑誌や国内外の学会・会議等を通じて広く発信をしていく予定である。
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Causes of Carryover |
26年度に中心的に実施したアンケート調査票の設計や配布、オントロジー実験のデザイン等に関して、分担者およ連携研究者の間で一連の作業を実施することが可能であったため、当初計画・予定をしていたRA等の人件費の使用を行わなかった。さらに、これら一連の作業や準備を進めていく上で必要な関連情報やデータについても、既存のものやウェブ上で入手できるものを最大限活用することが可能であったため、参考文献や資料等、関連物品の購入費を当初予定より抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は、アンケート調査から得られた情報・データの整理や、オントロジー実験への参加謝金に関連して相応の人件費等の使用を予定している。また、欧州の有力大学を中心に、異分野の研究者間の学際協働・共同研究を支える大学の制度や仕組みについてヒアリング調査を実施する予定としており、国内の大学へのヒアリング調査と合わせて相応の旅費を使用する予定である。また、これまでのアンケート調査やオントロジー実験、各大学へのヒアリング調査で得られた知見を総合的に取りまとめ、学術雑誌および国内外の学会を通じて広く発表を行っていくことにしており、これらの成果発表や広報、情報公開に必要となる費用を当初の計画より増やす必要があると考えている。 以上の内容を中心として、次年度使用額のものを含めて予算執行を計画的かつ着実に進めていく。
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Research Products
(13 results)