2014 Fiscal Year Research-status Report
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25340146
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
相川 泰 鳥取環境大学, 経営学部, 准教授 (90412155)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境と社会活動 / 中国 / 環境NGO / 日中協力 / 経済のグリーン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国の環境NGOを取り巻く状況は、2007年頃から厳しい時期が続いてきたが、近年ようやく明確に好転した。合法的に活動するには登記が必要とされるが、2007年から2012年にかけては、実際はなかなか厳しく、活動地域や分野で多少の無理をしてようやく登記ができるかどうか、という団体がいくつもあった。この厳しさは2014年になっても全国を活動範囲としている団体や北京の団体の場合には完全に解消してはいなかったが、他の地域では前年あたりから緩和しはじめ、例えば、長年にわたり実質的に全国的な活動をしていながら2010年に北京の1つの区の団体として登記せざるを得なかった「自然の友」は、2013年からは基金会としても登記するとともに、地方メンバーのグループにも各々の地元で団体登記するよう促し、実際にいくつかの団体の登記を実現させている。 「緑色選択連盟」によるサプライチェーン管理運動は、IT・家電やアパレルといった個別の業界に対する重点的なものから、8業界の総合ランキングへと幅を広げた。また、前年来の投資・融資への注視は、環境保護的なものに優先的に融資するという政策が登場したこともあって、金融全体へと広がり、それが本当に環境保護に結びついているのか、という監督へと発展している。さらに、そこから国外への投融資が環境破壊に結びつかないかという問題意識まで生み出している。 日中または韓国を交えた協力は、まだ最盛期には及ばないが、沈滞の時期を脱しつつあり、中国の環境NGO関係者の来日の機会も増え、訪中するまでもなく、そうした機会をとらえて話が聞けることも増えてきている。こうした中、日本の環境NGO関係者がある普遍性を持った問題の解決への結びつきから着目しているNGOが、当事者としてはむしろ別の問題の解決を重要と認識している、といった認識の齟齬が明らかになる例も出てきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は、単年度としては概ね順調であった。年度当初に計画した8・9月の中国滞在調査を実施し、環境NGO関係者の協力を得て、地域的には北京・天津に限られつつも、限られた日数としてはかなり効率よく多くの団体や関係者から話を聞き、さらに一部の活動については参与観察も実施できた。とりわけ、中国の環境NGOが一方でフェア・トレードなども視野に入れた実践を進め、他方で消費・投資から金融全体にまで環境配慮の働きかけの対象を広げ、それも国外への投融資まで視野に入れ始めていることを確認できたのは大きな収穫であった。そのほか、環境汚染の実態把握と状況改善を進める若い世代の団体の存在も確認できた。資料についても、最低限の目標としていた基礎的な定期刊行物を含め、概ね満足できる程度に収集が進んできている。また、日本国内および韓国も交えた中国の環境NGOとの交流・協力の現場や、以前、交流・協力経験があり将来的に交流を継続あるいは再開するつもりがある国内の環境NGOその他の団体・個人の活動にも接触・参加し、日中協力の現状および今後について考察を深めることができた。一方で、平成25年度に生じた遅れを取り戻す作業は十分にできず、場当たり的な対応の解消も不十分で、社会への発信・還元も最小限しかできないまま、今年度の課題として持ち越しになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、これまでに収集した情報の整理と解釈、取りまとめを進める。また、年度後半に向け発表の機会を積極的に得るようにし、完成度を高める材料としたい。
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Causes of Carryover |
前年度にかなり未使用額があったにもかかわらず、当該年度に当該年度分を下回る金額しか使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終的に書籍をまとめる計画があるほか、国内と中国での調査旅費、さらに学会などでの発表旅費にも研究費を使うので、最終的には平成27年度分も含めて使用することになる。
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Research Products
(3 results)