2013 Fiscal Year Research-status Report
伝統的な民家・集落における熱環境デザイン手法に関する研究
Project/Area Number |
25350002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
橋本 剛 筑波大学, 芸術系, 准教授 (70400661)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境デザイン / 伝統的な民家・集落 / 気候 / 屋敷森 / 生垣 / 気温 / 風速 / 暑熱環境緩和効果 |
Research Abstract |
本研究では、地域特性や伝統的な民家・集落の特性の異なる5地域(茨城県南地域、福島県会津若松地域、福島県阿武隈地域、長崎県対馬地域、鹿児島県奄美地域)を調査対象地域として選定している。1)茨城県南地域においては、伝統的な高生垣が形成させている集落を対象とした小気候観測調査を夏季に実施した。その結果、農村集落を調査対象とした既往研究の結果とは異なり、昼間において高生垣が密集している集落中央部に低温域が形成される傾向が認められ、高生垣による暑熱環境を緩和する効果を実証的に明らかにした。2)福島県会津若松地域においては、屋敷森の樹木配置パターンに着目し、空中写真を用いて景観の変化を把握した。その結果、樹木配置パターンの違いにより屋敷森の減少率が異なり、屋敷森を点在型配置としている集落では屋敷森が減少していないことが明らかとなった。そして、調査対象地域の屋敷森が気候適応デザインであるとともに水害対策としても位置づけられる可能性があることを確認した。また、屋敷森による防風効果の検証を目的として、冬季における小気候観測調査を実施した。3)福島県阿武隈地域、4)長崎県対馬地域及び5)鹿児島県奄美地域においては、それぞれの地域で第1次概観調査を実施し、次年度以降の具体的な調査対象となる民家・集落の確認・選定を行うとともに、現地での協力体制の整備を行った。また、3)福島県阿武隈地域においては、文献調査と住民へのヒアリング調査により、調査対象地域の農村景観が明治期以降の産業の変遷と大きな関わりをもちながら形成されてきたことを確認した。また、対象地域の典型的な伝統民家の実測調査を行い、平面図及び断面図を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、調査対象とする5地域の内、2地域で本調査を開始するとともに、3地域での第1次概観調査を実施することができた。また、第1次概観調査を実施した3地域において、具体的な調査対象集落の確認・選定と現地での協力体制の構築を行うことができ、次年度以降の研究推進環境を整備することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においては、1)茨城県南地域及び2)福島県会津若松地域における本調査を継続するとともに、残りの3地域の中から2~3地域における本調査を実施する。自然災害や天候不順等の不測の事態が発生した場合には柔軟に計画を修正・変更するとともに、必要に応じて調査対象地域を適宜追加する。
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Research Products
(2 results)