2015 Fiscal Year Research-status Report
製品意匠の群デザインのための対話型コンセプトモデル獲得支援システムの開発
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25350006
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
畦原 宗之 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50401782)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 感性情報処理システム / 工業デザイン / コンセプトデザイン / 対話型進化計算手法 / 色彩 / イメージカラー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、工業製品の意匠(形状)情報に関して、その特徴を言語ネットワークを介した形式で蓄積し、同様の製品領域に含まれる工業製品を新たに設計する際に活用するために、コンセプトモデルと呼ぶ感性的知識の獲得のための手法を考案することを目的とする。 当年度では、これまでコンセプトモデルとして検討してきた製品形状の特徴に関する概念階層の構築手法の検討に加えて、製品の色彩や配色の形成とその評価値を活用することで、製品のもつ印象を調整する手法について検討した。 本研究で構築したコンセプトモデル獲得支援システムは、複数の種類の食器の形状を対象に、対話型進化計算手法を応用して構築されている。システムが複数自動生成する2種類のペアの食器の候補に対し、ユーザは自身の感性で似ていると感じる候補の選択を繰り返すことで、最終的に、似ている製品の形状をもつペアに進化する。これらの候補は特徴の概念階層で保存されているため、評価の高い食器のペアの形状の特徴情報は言語的な特徴情報に関する知識=コンセプトモデルとして獲得することができる。そしてこのコンセプトモデルをもつ別の種類の食器の形状の生成を実現することも可能となる。 これまでは提示する候補に対して色の付与を行っていないが、当年度に発表した研究成果をもとに、複数の色を自動生成し、付与することで、各候補に対して、誘目性に関する一般的な視点から、自動的に個別の評価を与えることが可能になる。つまり具体的には、製品に付与した色のうち、特に目を惹く上位の色である「イメージカラー」を特定できる。そして、これらイメージカラーについて、提案した手法により色を変更することで、製品の印象を大幅に、あるいは小幅に調整することが可能になる。これらの色彩の印象に関する新たな知識は、本研究のコンセプトモデルの構成要素の1つとして活用することができるようになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当年度では製品の印象を色彩の視点から獲得し、印象を調整する手法の提案を行ったため、コンピュータによる3次元形状の構成に関する進捗が遅れている。当年度の研究成果をもとに、具体的には色彩をもった3次元形状の表面(テクスチャ)を生成することを目標としているが、光源や反射による質感なども含め詳細な方法を検討する必要がある。本研究が提案するコンセプトモデルへの、色彩に関する情報の融合関する検討の進捗についても遅れているため、検討を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果により、工業製品のもつ色彩に対しても、目を惹く色の自動的な抽出と、配色の効果的な変更による印象の調整が行えるようになった。この成果は、本研究が目指す複数種類の製品の群デザインにおいて良い意味で強力に影響する可能性がある。配色という点においては、例えば、複数種類の製品で、個別の配色を同一にして統一性をもたせる場合と、個別の配色は違うが、組み合わせてみた場合に互いを補完する形で全体的な配色として統一性がある場合がある。こういった検討を含め、製品の色彩に関する検討を進める。そして今後の研究では、これまで提案しているコンセプトモデル構築手法と融合させる手法の提案を中心に検討していく。
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Causes of Carryover |
研究開始当初の研究テーマの補強、補完に関する充実化を伴う研究を進めていることで、研究の進捗に必要なリサーチアシスタント、被験者等の人件費、および各種会議による研究発表、論文投稿について、当初の使用予定より遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
提案システムの実装と有効性を検証する評価実験を計画している。これらに関わる研究設備、消耗品の購入費、リサーチアシスタントや実験の被験者当の人件費が必要となる。また、最新の研究動向の調査および研究成果報告のため学会への参加に関わる旅費、参加費や成果の公表のための論文別刷料等が必要となる。
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Research Products
(2 results)