2013 Fiscal Year Research-status Report
自転車と共生するための利用者視点にたった交通環境整備に関するデザイン提案
Project/Area Number |
25350013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
曽我部 春香 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (50437745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 昌嗣 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (20243975)
杉本 美貴 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (00635047)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自転車通行帯 / 自転車シェアサービス |
Research Abstract |
本研究では、近年の自転車を取り巻く社会状況の変化をふまえ、自転車と歩行者、そしてその他車両とが共生できる交通環境の創造を目指すことを目的としている。研究計画としては、社会状況の変化に対応するかたちで急務に進められる自転車通行帯の整備においては既に課題が見受けられることから、事例フィールド調査や文献調査によりその課題を明確に整理し、利用者が利用しやすくわかりやすい自転車通行環境整備のあり方についてデザイン提案を行うこととしている。 本年度は主に自転車通行環境の整備における先進事例調査及び自転車をとりまく社会環境に関する事例調査を実施した。事例調査は主にWebとフィールド調査で実施しており、現時点で以下の点が明らかとなった。 1.通勤手段等の最も自転車利用が日常的に行われていると考えられる大都市の中心市街地においては、十分な自転車通行環境の整備が行われているとは言いがたく「自転車をとりまく社会情勢の変化に伴う対応」といった整備状況が多くあるといえた。2.地方都市においては、観光での自転車利用促進等も進められている事例が多くあり、それに伴い道路環境の整備も工夫して行われている事例がある。3.大都市圏においては、日常生活における自転車利用促進の目的から一定のエリア内(特に中心市街地)で自転車シェアサービスの導入事例が近年急速に増加しており、自転車利用の在り方の変化がみられることがわかった。4.道路環境の整備においては、自転車、歩行者、その他車両等の共生が図られるように様々な工夫を試みているものの、すべての利用者にとって有効な決定的な解決策がとられている事例はみられなかった。 以上の事例調査から、自転車をとりまく利用環境の変化が急速に進んでいるため、利用環境の変化をもふまえた自転車通行帯の整備が必要であることがわかった。今後も事例調査を続けながら課題を整理し、解決すべき課題の明確化を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進捗している。地方都市における自転車シェアサービスに伴う自転車通行環境の整備が進んでいるといった対応的な措置ではない自転車通行環境の調査や大都市圏での自転車通行環境整備に関するフィールド調査、自転車利用の観点から自転車シェアサービスに関する事例の調査を実施したことにより、自転車通行環境整備における課題が明確になってきた。また、計画時には予測していなかった自転車シェアサービスの急速な普及が進んでいることが事例調査により明らかになったことから、研究の視点に自転車利用の実態変化についての視点を加えることの重要性についても気づくことができた。 今後は引き続き事例調査を実施しながら、課題間の関係や自転車以外の利用者にとっての自転車通行帯に関する調査も進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより加速して、事例調査を進め、課題の抽出・整理、課題間の関係について各利用者視点も交えながら整理・分析を行う必要がある。 課題の整理に時間を要することが、これまでに実施した事例調査からわかったので迅速な調査と課題の整理における研究視点の整理が重要になってくると考えている。これまで以上にスピード感をもって研究を進めたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画時に予定していた事例調査が実施できていないことが要因である。日本よりも自転車通行帯の整備が進んでいる欧州での事例調査を平成25年度に予定していたが、その実施が平成26年度となったため、それに要する旅費や調査により得られる多量の資料やデータを整理するための人件費が未執行状態になっている。 平成26年6月に欧州での事例調査を実施することとなっており、これに伴う旅費とこの調査から得られる多量の資料やデータの整理のための人件費が発生するため、前年度繰越額はほぼすべて平成26年度前半に執行する予定である。 また、今年度支給額に関しては、当初計画に則り執行予定である。
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