2013 Fiscal Year Research-status Report
生体情報制御のための空気玉による触覚提示と触覚デザインの研究
Project/Area Number |
25350016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上岡 玲子 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (30401318)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 空気砲 / 触覚 / 快適性 |
Research Abstract |
本研究は,非言語の情報として触覚に着目し,圧力変化をつけた空気の玉を使った触覚ディスプレイを用いて顔の頬部に触覚フィードバックを行うことで,人の生体情報を制御することを目的とする.これまで試作した大型の空気砲による触覚ディスプレイで顔面全体に空気玉を当てるために最適な直径18センチの筒を設計していたが,H25年度には,頬に空気玉をあてることに特化するため,頬の中心部に空気玉をあてた時に最も触覚刺激が伝わりやすい玉の大きさを,直径の異なる数種類の筒で空気玉の大きさを変えて頬にあてる比較実験を実施することで最適径を明らかにし,頬にあてるのに最適な渦輪のサイズから,筒の直径を5cmとし,それにあわせ圧縮空気の体積も約390立方センチとした. また,覚醒と安静の2つの相反する生理状態を恣意的に変化させるために効率的な触覚表現の方式を理論化するための基礎実験として,体表温度を計測し,空気圧を0.04MPa,0.08MPa,時間間隔を3,5秒間隔で制御し,体表温度の変化と主観評価から0.08Mpa,発射間隔3秒で最も体表温度が下がることが判明した.また,主観評価からも先の組み合わせが快い評価が高かったため,安静を誘導する効果がある可能性が明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生理状態の計測を当初,心拍変動によるストレス値の検出,脳波センサーによるα波,β波の検出,発汗などの生理指標や眼球運動に基づき判定するとしたが,体表温度の計測のみが実現している.心拍変動を計測するためのECG計測センサーの受信装置がカスタマイズ発注であったため,納品が当初の予定より遅れたので現在,計測のためのプログラムを製作中である,また,計測を予定していた脳波センサーの精度が想定していたものよりも低かったため,他の方法で覚醒と安静の状態を推定する計画に変更する.眼球運動については瞬きの検出などができるプログラムの試作は行ったが,空気砲のシステムとあわせた実験はまだ行っていない.H26年度以降の小型化については今年度でおおむね完成している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画は,生理状態の計測とそれによる圧縮率と時間間隔の自動調整によるインタラクティブな触覚ディスプレイを実現する.そのための実験として,空気砲の挙動の特性を整理することと,圧縮率を自動制御するためのシステムの試作を行う.覚醒,安静の状態をある程度システムが推定できるようにし,提示触覚の有効性について実証実験を行う.また,日常空間下である程度自由度のある姿勢であっても人の頬部を検出して空気玉を触覚情報として的確に頬にあてることができるように,頬の検出を画像処理により行う制御システムを試作する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたよりも試作部材の経費がかからなかったので,次年度使用額が生じた. 今年度は計測センサーなど電子材料を購入予定であり,そのための経費が必要となるため,センサー購入の補填として使用する計画である.
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