2016 Fiscal Year Research-status Report
輝度ヒストグラムの分析による視環境デザイン手法の開発
Project/Area Number |
25350018
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大井 尚行 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (40294996)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 照明デザイン / 輝度分析 / 画像 / 屋内視環境 / 屋外視環境 / 評価構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,照明環境の質を記述しデザインに活かすことのできる可能性の高い,総体的な輝度分布とその主観評価の関係を対象とし,予備的な分析で有効とみられる仮説を検証することを目的としている。このためにH27年度までに撮影した画像データより輝度ヒストグラムの作成・分析を継続して行っている。対象環境は主としてドイツの屋外イルミネーション,ライトアップである。デジタル画像データのような階調値の細かいデータからヒストグラムを作成する場合の階級幅について知見がなかったため,複数の階級幅によるヒストグラムを作成して比較検討した。また主観評価実験については,現場実験のデータの分析および直視型高解像度ディスプレイによる実験を行った。ディスプレイ実験においては,視野角が現場実験と同じになるように設定するとともに,輝度ヒストグラムがどの程度再現されているかについてもデータを収集し整理した。 これまでに得られた結果として,ディスプレイ上で輝度ヒストグラムの形状をほぼ再現できる階級幅が存在することを確認しているが,屋外のイルミネーションの評価と輝度ヒストグラムの関係については空間形状や照明光色などの影響が大きいことがわかっており,照明環境評価に変動要素モデルを導入する必要があることがわかった。 そこで,本研究課題の中では視環境デザイン手法として,輝度分布を用いたその他の明るさに関する研究事例との間の関係の整理,イルミネーションの評価構造について先に検討することとし,H28年度には最新の研究事例を収集しつつ,あらためて概念整理を行うとともに,評価構造抽出のための調査に向けての準備を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
さまざまな環境(視環境)においてデジタルカメラを用いて広視野角の画像撮影を行う計画については順調に進展しヒストグラムが得られた。海外の屋外ライトアップイベント,イルミネーションのデータも得られ,現場実験・映像評価実験も一通り完了している。これらの結果を分析したところ,当初の見込みとはやや異なる結果が得られたため,研究内容をやや変更し,他の明るさ研究との関係整理,評価構造抽出調査の準備を行ったため,これらの結果はまだ得られていないが,最終年度前半には評価構造データが得られる見込みである。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果全体をとりまとめる。 ・さまざまな環境の画像・輝度ヒストグラムについて整理したものをまとめる ・各環境画像について「明るさ」と「魅力」の2尺度を中心とする主観評価実験の結果をまとめる ・輝度分布を用いた明るさ研究の中での輝度ヒストグラムを用いた分析の位置づけについてまとめる ・新たに視環境の評価構造について調査し,結果をまとめる
|
Causes of Carryover |
平成27年度に研究成果の海外発表を2回行うため計画を変更して前倒し支払いを請求したが,請求申請時期が出張前であったため,旅費使用額を確定できず,次年度使用額が生じた。H28年度は情報収集とデータ整理のみを行って,H29年度に研究全体のとりまとめ,発表に必要な研究経費をそのまま残すこととした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究のとりまとめに必要な物品購入,成果発表旅費,発表費等にあてる。
|