2014 Fiscal Year Research-status Report
次期学習指導要領改訂に向けた衣生活に関する学習内容の検討
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25350038
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
日景 弥生 弘前大学, 教育学部, 教授 (10142829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 香保里 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (00258683)
志村 結美 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (00403767)
木立 るり子 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (60197192)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 次期学習指導要領 / 生活に必要な知識や技能 / 中学校家庭科免許 |
Outline of Annual Research Achievements |
次期学習指導要領改訂に向けた衣生活の学習内容を提案するために、平成26年度は前年度の調査結果を踏まえ調査研究を行った結果、以下のことが得られた。 1)大学生、その親世代及び、高齢者を対象にした生涯にわたる衣生活に必要な知識や技能:前年度の調査では、親世代の男性に「もっと学びたかった」項目が多くみられた。そこで、同様な年齢を対象に再調査した結果、衣服の選択・購入・手入れなどは自分で行っていないことがわかり、それが親世代の男性が「もっと学びたかった」要因であると推察された。また、高齢者を対象に調査した結果、主に料理や裁縫、農作業に関するものが今の役に立っており、「料理や裁縫は中学校卒業後、就業や結婚を機に習得した」者が多く、市部に居住する高齢者の特徴であることが伺えた。 2)中学校家庭科担当教員の家庭科観:青森県内の中学校で家庭科を担当している教員を対象にアンケート調査を行った。その結果、免許外教員は「家庭科の知識や技能」などに自信がない者が多いことがわかったが、教員免許の有無による家庭科観の違いはアンケート調査からはみられなかった。そこで、免許保有教員及び免許外教員にヒアリングを行ったところ、教員免許の有無により指導者の家庭科観は異なることがわかり、「自信のなさ」などと相まって生徒の家庭科観に影響を与えていることが推察された。 3)衣生活の変化や教育実践が家庭科の学習指導要領や教科書等に与えた影響:戦後から現在までの衣生活の変化は、社会化・多様化・高機能化などに集約できる。これらの一部は、教科書等に反映しているが、女子のみ必修時代は被服製作が大半を占めていることや、男女必修以降は、被服領域の存在が薄いこともあり、あまり影響はみられていない。しかし、生活課題の発見や生活改善を取り込んだ家庭科の教育実践は、環境問題等の記述として教科書等に反映された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、①小学生から大学生を対象にした生活に必要な知識や技能に関する調査、②中学校家庭科の学習効果に関する調査と要因分析、③高齢者の生活に必要な知識や技能に関する調査、④家庭科教育の変遷と学習内容の成果や効果の分析を計画し、以下のように実施した。 ①は大学生のほかに、生涯にわたる生活に必要な知識や技能を調査する目的から対象に大学生の親世代(成人)を追加して実施し、各世代や性別における有用性、期待、及びその要因を明らかにした。②は計画を前倒しして実施しており、昨年度は中学生の家庭科観は調査したので、今年度は、中学校家庭科免許保有教員および免許外教員の家庭科観を調査した。③は、今年度は市部に居住する高齢者を対象とし、計画通りに実施した。④は、資料等を収集でき、興味ある知見がえられ学会発表を行うことができた。 以上のことから、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度に引き続き①小学生から大学生を対象にした生活に必要な知識や技能に関する調査、②家庭科教育の変遷と学習内容の成果や効果の分析などを実施する。また、本課題の最終年度にあたるため、3年間の研究の総括を行う。 ①では、当初、小・中・高・大学生を対象としたが、高校生は学校による差が大きいことや、生活に必要な知識や技能の把握は全ての課程の家庭科教育を修了した大学生で足りるため、調査対象から除くこととする。また、小・中学生は家庭科学習を始めたばかりであることから、生活技能や知識の実態把握を中心に行うことに変更することにした。さらに、生活技能は他の技能等との関連があることから、小学生には生活以外の技能等について調査することを追加する。なお、調査対象者数は、昨年度の報告書に計画の変更を記載したように、小・中規模校が多い実状を踏まえ100名程度に減じることにした。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、昨年度購入した物品に余剰があったこと、市部に居住する高齢者を対象としたことによりインタビュー調査のための旅費が不要になったことなどにより、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
小学生を対象に生活以外の技能等についても調査するため、トナー・用紙などの物品費やデータ入力のための謝金等に充てる。また、本課題の最終年度にあたるため、研究のまとめのために昨年度より多くの学会発表等を予定しており、旅費に充てる。
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