2014 Fiscal Year Research-status Report
大学生に向けた金融リテラシー教育のプログラム開発に関する研究
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25350041
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西村 隆男 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (40242375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿野 成美 公益財団法人消費者教育支援センター, 事業部門, 総括主任研究員 (50648110)
鎌田 浩子 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (60301959)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金融リテラシー / 金融教育 / 大学教育 / パーソナルファイナンス / 個人財務管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は米国大学等におけるパーソナルファイナンス教育の実情を調査するとともに、日本の大学における金融リテラシー教育へのニーズ調査、さらには韓国における実情調査を中心に行った。 当初の予定では、米国の複数の大学を訪問調査により、パーソナルファイナンス教育の実施状況を把握するつもりであったが、米国大学のウェブシラバスによる情報収集が容易にできることとが判明したため、米国調査はウェブによるものとし、国内大学の調査を軸に研究を行うこととした。その結果、判明したことは、米国大学においてはファイナンシャルプランナー(FP)資格取得を目的とする職業教育的な教育が中心であり、社会人としてのキャリアアップとしての自己啓発を行う意味での生涯教育としての性格も併せ持つ内容として実施されていることが確認された。また、多くのパーソナルファイナンスの研究者がそれぞれの大学に配置され、専門的学問領域と地位が確保されているようであった。 翻って、わが国ではパーソナルファイナンス教育は、家計管理論、生活設計論といった家政学系、生活科学系の一分野の一部に限られていて、少なくとも職業教育的色彩を帯びたファイナンシャルプランニング教育はごく一部の私立大学にとどまるものであることがわかった。しかしながら社会人になる前に必要な素質としての金融リテラシー教育へのニーズを大学教育に位置づける可能性を全国調査した結果(有効回答20%)、約半数は現在の学生へのニーズは高く、カリキュラムに組み込みたいという意思を持っていた。(但し、回答者は理事を含む教員と事務系職員の場合がある) 韓国の大学教育においての扱いは、家政系学部消費者学科等において多くの大学で個人財務計画論が位置づけられている。キャリアとしての金融関係への就職に有利に働く国家公認の資産管理士、総合資産管理士などがこれに該当する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金融リテラシー入門の実験講義を本学で昨年度より実施し、学生による評価なども参考にすると、学習意欲を高めることに役立っていると判断できる。社会人として自立していく前の最終の教育機関として、大学において金融リテラシーについて学ぶことは、学生も意義があると感じている。国によるが海外においても、これまでの調査から重要性の認識は高まっており、ニーズ調査においても必要性認識も高く、今後さらに調査結果の分析等によって検証していく。以上のように、研究の当初の目的はおおむね順調に推移していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
予定の研究をさらに最終年度に向けて検証を進め、金融リテラシーを大学教育において実践する意義や、評価、関係者からのヒアリング等を通じて実証をすすめていく。また、それらの研究成果を学会発表あるいはシンポジウム開催を通じて、公表していくことも検討していきたい。
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Causes of Carryover |
米国調査について、現地調査をweb調査に切り替えて実施したこと等による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終のまとめの作業において、ヒアリング等の協力者謝金に充当する予定である。
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