2013 Fiscal Year Research-status Report
放課後児童クラブにおける生活の場としての空間構成と音環境に関する研究
Project/Area Number |
25350048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 佐代 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (90409269)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放課後児童クラブ / 学童保育 / 子ども / 音環境 |
Research Abstract |
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)は、学校とは異なり多様な生活行為が行われることや近年の入所児童数の増加等により、会話に支障が出る、児童が大声になる等の問題が顕在化し、音環境整備や落ち着ける空間の確保が必要となっている。本研究は、留守家庭児童の第二の「生活の場」である放課後児童クラブを、落ち着いて生活できるような場所とするために、音環境の観点から、その生活環境を向上させることを目的としている。平成25年度は、以下の2つの研究を実施した。 1.家庭の生活に準じた毎日の「生活の場」である放課後児童クラブに求められる環境や施設・設備を明らかにするために、福岡県春日市および福岡市の放課後児童クラブ13ヶ所を対象に、生活行動と空間の使い方の観察・記録調査、指導員対象ヒアリング調査を実施し、遊びや学習以外に児童が行う生活行為や休息、くつろぎ、静養など特に落ち着きが求められる行為、生活の場としてふさわしい児童の集団規模、多様な行為の混在を避けるための空間の使い方、児童の休養や落ち着きを確保するために指導員が行っている配慮等を把握した。 2.障碍児が放課後生活を過ごす場所の必要性が高まっていることから、福岡市の特別支援学校の児童・生徒が放課後を過ごす施設4ヶ所を対象に、指導員対象ヒアリング調査および家具配置の記録等を行った。特に発達障碍児は、目、耳等からの外部情報のコントロールが苦手なケースがあることで知覚への配慮が必要であるため、施設内における空間の使い方、および子どもの嫌いな音や嫌いな音への対応等、音環境の現状を把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度実施予定の現地調査および先進事例・特色のある事例の視察はほぼ実施済みである。平成25年度に実施できなかった調査項目(学校夏季休業中の一日保育の日の行動観察調査、発生音の観察・記録)もあるが、障碍児が放課後を過ごす施設を調査対象に加えるなど調査事例数を増やし、研究を充実させることができているため、全体としてはおおむね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、放課後児童クラブを児童が落ちついて生活できるような場所にするために音環境の観点から生活環境を向上させることを目的としており、 研究の背景には、音情報のコントロールが苦手とされる障碍児の利用の増加もある。 放課後に障碍児を受け入れる施設については,平成24年には放課後等デイサービスが創設されるなど、施設の形態も多様化してきた。 このため、平成25年度の調査では、放課後児童クラブに加え、特別支援学校敷地内の専用建物で放課後の支援事業を行っている施設においても、 生活環境の現状や苦手な音の対策などを把握することを目的に、指導員対象のヒアリング調査を行っている。 平成26年度の音環境の調査は、放課後児童クラブを中心に、児童が放課後を過ごす施設について、残響時間などの建築音響性能の調査を行い、 放課後児童クラブの生活の場づくりに有益な基礎的資料を示す予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたのは、学校夏季休業中の一日保育の日の行動観察調査のように、調査時期が限定され、平成25年度中に実施できなかった調査を平成26年度に持ち越したためである。 次年度は、音環境調査を中心に研究を進める。音環境調査を実施するための測定機器、旅費、調査補助およびデータ整理のための謝金、消耗品に研究費を使用する。なお、次年度使用額は、今年度調査の補足調査(学校夏季休業中の一日保育の日の行動観察調査、発生音の観察・記録)および音環境調査の充実(調査対象施設の拡大)ために使用する予定である。
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