2014 Fiscal Year Research-status Report
日本の伝統的染織技術の持続可能なテキスタイル・デザインへの展開に関する研究
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25350061
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Research Institution | Tama Art University |
Principal Investigator |
深津 裕子 多摩美術大学, 美術学部, 准教授 (20443145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川井 由夏 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (70407815)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 染織技術 / 持続可能性 / テキスタイルデザイン / 環境保全 / サステナビリティ / 日本の伝統 / 環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の各地で伝承されてきた伝統的な染織技術に関する調査研究を沖縄県の八重山諸島・長野県の伊那郡飯島・静岡県島田氏などで実施し、地域社会における位置づけ・現状・問題点などを把握した。聞き取り調査をもとに日本の伝統的な工芸技術を、現代社会に生きる我々のライフスタイルに適応した、持続可能なテキスタイルデザインに展開する手法について検討した。 これまでの研究成果を国際的な学会で発表することにより、世界の各地の研究者との意見交換を行うために、ロスアンゼルスのUCLAで開催されたTextile Society of America(アメリカ染織学会)の第14回シンポジウムにおいて発表した。シンポジウムでは、アフリカや中南米の未利用繊維の開発等に従事する研究者らと情報交換を行いグローバルなネットワークの形成が望まれた。 本研究の研究対象である日本の伝統的な染織工芸品は、現代社会で大きな課題となっている環境保全やサステナビリティの観点からすれば、オーガニックな未利用繊維を使用した環境に負荷を与えないものであり、また地球循環型の持続可能な思考を内在するものである。次世代型の持続可能なプロダクトや思考を普及させようとする動きは現代社会の一部においてみられるようになってはきたが、我々は未だファストファッションや低コスト商品が好まれる大量消費社会の利便性や思考から脱却できないのが現状である。 本研究ではこのような現状を把握しながら、学術研究と大学教育の両面において持続可能なテキスタイルデザインのあり方について調査研究と活動および国際交流を行い、時代・地域・文化を横断したテキスタイルデザインを展開するための基盤を構築するとともにグローバルなネットワークを形成するための準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的を達成するための基礎的な調査とその整理および検証が概ね順調に進展した。これにより現状を把握し、いくつかの問題点を明確にし、改善策を提案することができたため、最終年度に実施予定の具体的なデザイン計画などに向けた準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果をもとに本研究課題の最終的な目的であるテキスタイルデザインを提案する。調査研究の対象としたいくつかの地域社会で生産される素材やプロダクトの融合および、伝統的染織技術とサステナブルデザインを融合させた、現代社会のライフスタイルに適応したテキスタイルプロダクトのデザインを推進する予定である。
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