2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
米田 守宏 奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (20158538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 尚子 椙山女学園大学, 生活科学部, 講師 (80184753)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 繊維集合体 / ポリウレタンフォーム / 圧縮・回復特性 / 圧縮応力緩和 / 圧縮クリープ / 合成繊維 / 再生繊維 / 高湿環境 |
Research Abstract |
平成25年度は以下の2つのテーマについて検討を行った。(1)高湿環境下における合成繊維・再生繊維集合体の繰り返し圧縮回復特性の解析:本研究では、実使用時を考慮した高湿環境下での、合成繊維および再生繊維からなる短繊維集合体(12種)の繰り返し圧縮・回復挙動について検討し、その挙動を標準条件(20℃,65%RH)における結果と比較した。以下の結果が得られている。高湿環境下での圧縮エネルギーWCは標準条件より小さいかほとんど等しい。高湿環境下での回復エネルギーWC'は標準条件とほとんど等しいか、あるいは非常に小さい。繰り返し圧縮・回復曲線の6回目のサイクルを線形化法により解析し、圧縮時の指数nFおよび回復時の指数nBを用いて、各素材の圧縮・回復挙動の特徴を検討した。その結果、高湿環境下においてキュプラ繊維集合体の回復性がポリエステル繊維集合体よりも悪いことを実験的に捉えることができた。また、線形化法による解析が、繊維集合体の圧縮・回復挙動の把握に有効性を持つことが確認できた。(2)インテリア用緩衝材料に用いられるポリウレタンフォームの圧縮・回復挙動および圧縮粘弾性特性:インテリア用および寝具用として広く用いられている市販のポリウレタンフォーム材料8種を試料として、圧縮・回復特性および圧縮応力緩和特性、圧縮クリープ特性の測定を行い、緩衝材料としての力学的特性の特徴を検討した。圧縮・回復挙動は次の3通りに分類される。圧縮変位量・ヒステリシスの小さい高反発フォーム、変位量・ヒステリシスの大きい低反発フォーム、その中間に位置するフォームである。低反発フォームの圧縮・回復曲線の特徴として、圧縮時の応力-歪み曲線が折れ曲がること等が捉えられた。フォーム材料の圧縮応力緩和はべき関数型の式で表示される。一方、フォーム材料の圧縮クリープ挙動には様々なタイプのものがあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KES-G5圧縮試験機と試作した加湿装置の組み合わせにより、高湿環境下での繊維集合体の圧縮特性の特徴を捉えることができた。これはインテリア用充填材料の実使用時において高い湿度環境が想定されるため、実用的に重要な意味がある。高湿環境での測定については、平成26年度の実施を予定していたが、前倒しで実施できた。一方、ポリウレタンフォームは椅子用充填材料としてきわめて多用される材料であるが、その圧縮特性に関する系統的な研究はこれまでなかった。本研究では、市販のフォーム材料の圧縮特性および圧縮粘弾性特性を、繊維集合体の研究で開発した測定技法を用いて捉えることができた。とくに、寝具用充填材料として注目されている低反発ポリウレタンフォーム(商品名:テンピュール)の力学的特徴(応力-歪み曲線が折れ曲がる)が把握できたのは貴重な知見であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
椅子用充填材料の座り心地に関する官能試験を実施し、充填材料の圧縮・回復特性、圧縮粘弾性特性との関連を検討することを予定している(座り心地に関する官能試験については本年度中に一部実施している)。さらに、椅子の力学特性は充填材料と椅子張り地との組み合わせからなるシステムとして理解する必要がある。このため、次年度以降は、椅子張り地と充填材料からなるシステムが様々な圧力条件を受けた時の変形の様子を数値計算に基づく手法で検討することを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
金額は2011円と少額であるが、これは商品購入時に発生した端数である。 消耗品の購入にあてる予定である。
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Research Products
(3 results)