2013 Fiscal Year Research-status Report
居住形態の変容からみた身体周囲のアキ寸法の動的計測と可視化に関する研究
Project/Area Number |
25350084
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
若井 正一 日本大学, 工学部, 教授 (90120592)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | アキ寸法 / 人体動作寸法 / 人体計測 / 3次元動作解析 / 建築人間工学 / インテリア / 居住環境 |
Research Abstract |
本研究課題「居住形態の変容からみた身体周囲のアキ寸法の動的計測と可視化に関する研究」の目的は、これまで建築やインテリアなどの設計計画分野において、多くの研究者や設計者からその必要性が指摘されながらほとんど計測されてこなかった目的行為を完遂するために身体周囲に構成される対人・対物の非接触の空間的領域である「アキ寸法」に着目して、多様な身体動作の場面を対象に3次元動作解析システムによる動的身体計測を行い、各種設計計画のための有用な計測データとして体系的にまとめることである。 本研究の初年度として、下記の手順で計測手法を整備して多様な日常生活場面を対象にして、身体動作に必要なアキ寸法の計測を行い、そのデジタルデータの体系化と可視化を試行した。既往の研究では、日常生活動作から抽出した24の基本姿勢をもとにして、身体周囲で機能的に必要な付加寸法を配慮した新たな「複合動作空間」などを提案して体系化を試みてきた。しかしながら、この複合動作空間の考え方は、実務設計への展開が不明確なままに基本的な考え方だけが示されたために、身体動作寸法の判断が曖昧なまま、大半を設計者に委ねることとなった。また、建築設計資料集成「人間」(日本建築学会編)において動作空間の概念として説明されている寸法構成は、「人体寸法または動作寸法」+「モノの寸法」+「ゆとり寸法」であるとしているが、この「ゆとり寸法」を設計に展開する具体的な指針がないので、身体周囲の「アキ寸法」を基軸に新たな計測手法を策定した。そこで、主要な日常生活動作を対象に、本年度購入した3次元ビデオ動作解析システム(㈱ディケイエイチ製)を活用して多様な動作寸法の3次元計測を試行した。さらに、建築分野の実務設計者を対象に設計寸法に関するヒアリングとアンケート調査を実施して、身体周囲に構成される「アキ寸法」のニーズや設計現場の問題点などを探った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度として、身体動作寸法を計測する既往の測定機器を整備するとともに、3次元ビデオ動作解析システム(㈱ディケイエイチ製)を購入して、日常生活行為を想定した身体動作寸法の3次元計測を試行することができた。また、既往研究でまとめた身体動作の24の基本姿勢や日常生活行為の応用動作などを勘案して、本研究の目的である身体動作寸法に必要な「アキ寸法」を加えた新たな動作空間の3次元計測および計測データを可視化する可能性が確認できたので、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度の成果を踏まえて、多様な日常生活場面を対象にして身体周囲に必要なアキ寸法の計測を実施する。特に、平成26年度は、被験者の属性による違いや個人差などに注目して計測を進める。今後の研究の推進方策は、下記に示すとおりである。 (1)被験者の属性による違いを検証するために、体格の大小による身体的な差異とともに男女差、年齢による差異、運動能力による差異などを実験的に検討する。 (2)身体周囲に必要なアキ寸法は、身体を基軸にして3次元の方向性(前後、左右、上下)がある。それらの計測値の空間的な把握とデジタルデータの体系化を試みる。 (3)具体的な設計寸法へ応用するために、日常生活場面を想定した多様なシナリオをもとに複合動作空間を設定して、実務設計に展開する可能性を検討する。
|