2014 Fiscal Year Research-status Report
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25350085
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
渡邊 慎一 大同大学, 工学部, 教授 (00340175)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日傘 / 温熱的快適性 / 日射遮蔽率 / 体感温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、色彩と生地素材が異なる3種の日傘を用いて、被験者実験を実施した。実験に用いた日傘は、一般的な生地が用いられた黒色の日傘①、日傘①と同一生地で白色の日傘②、および前年の研究で最も日射遮蔽効果があると特定されたラミネート加工生地で茶色の日傘③である。被験者は青年女性18名を採用した。実験は夏期に3日間、午前および午後の計6回実施した。着衣が被験者の心理反応に及ぼす影響を考慮して、実験時の衣服は予め用意したものを着装させた。実験の結果、日向の全身温冷感は「+2: 暖かい」と「+3: 暑い」の間である2.65であった。一方、日傘を使用した場合、いずれの日傘でも「0: 暑くも寒くもない」から「+1: やや暖かい」の間の申告となった。このことから、夏期において日傘を使用することによって、暑さの感覚を緩和できることが明らかとなった。この知見は、日傘の暑熱緩和が感覚的にも効果があることを初めて実証したものであり、極めて学術的に価値があると考えられる。 被験者実験と同時に日向および3種の日傘下において熱環境(気温・湿度・風速・上向き下向き長短波放射量)を実測した。これらのデータに基づいて体感温度ETU(Universal Effective Temperature, 総合有効温度, 単位:℃)を算出した。日傘使用時の体感温度を算出した研究はこれまでにはなく、画期的な成果であると考えられる。算出したETUと被験者が申告した温冷感との関係を検討した。その結果、ETUが上昇すると暑く感じるものの日傘を使用することでその影響は緩和されることが示された。また、ETUが上昇してもラミネート加工された日傘を使用することで、不快に感じる度合いが小さくなることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、日向および日傘下の長短波放射量等の物理量を実測し、日傘下に形成される熱環境を明らかにした。これらのデータを用いて体感温度ETU(Universal Effective Temperature, 総合有効温度, 単位:℃)を算出した。物理量測定と同時に18人の被験者を用いて、日向および日傘使用時の温熱環境の感覚評価を行った。現在まで研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、日傘使用時の体感温度と被験者の暑さ感との関係を試行的に分析した。しかし、日傘使用時の体感温度と暑さ感との相関は予測していたよりは強くない。これは全身を対象として体感温度を算出したためではないかと推察している。したがって、今後は日傘の効果が明確に表れると考えられる頭部とそれ以外の部位それぞれの体感温度を算出し、暑さ感との関係を詳細に分析する。この分析に基づいて、歩行者が暑熱環境を緩和するための日傘の効果的な使用法を提案する。
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Research Products
(3 results)