2014 Fiscal Year Research-status Report
農産物の非加熱調理加工による革新的食素材変換プロセスの開発
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25350091
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
上野 茂昭 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (80410223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
君塚 道史 宮城大学, 食産業学部, 准教授 (90553446)
島田 玲子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (60331451)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非加熱加工 / 高圧処理 / 冷凍解凍 / 機能性 / アミノ酸 / ペプチド / テクスチャ |
Outline of Annual Research Achievements |
農産物を用いた高タンパク食材の軟化効果は,プロテアーゼによる筋原線維の軟化効果であると報告されている。他方,農産物を用いたタコやイカなどの頭足類の軟化に関する報告は少ない。また,外食産業においては,生タコを茹で調理により軟化させているものの,その調理法は料理人の経験や勘に強く依存している現状である。そこで本研究は,農産物に含まれるタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)に着目し,タコの筋原繊維を軟化する可能性を検証した。 軟化処理試料はいずれも無処理試料に比べ,初期弾性率が低くなっており,いずれの処理間でも有意差が認められた。マイタケ処理の試料は,キウイフルーツ処理およびパイナップル処理と比べ有意に軟化したことから,マイタケはキウイフルーツおよびパイナップルより高いプロテアーゼ活性を持つことが示唆された。軟化処理試料はいずれも,農産物の破砕物に浸漬していない試料に比べ,初期弾性率が高くなったものの,いずれの処理間でも有意差は認められなかった。農産物のプロテアーゼ活性は生タコによりはたらき,冷凍タコでは軟化効果が認められなかった。 生無処理試料のグルタミン酸濃度を100として,軟化処理試料のグルタミン酸相対濃度比(軟化処理試料のグルタミン酸濃度/生無処理試料のグルタミン酸濃度)を算出した。生軟化処理試料のグルタミン酸相対濃度比の平均は111,最低値は71.6,最高値は165となった。また,冷凍軟化処理試料のグルタミン酸相対濃度比の平均は170,最低値は99.0,最高値は326となった。生無処理試料と比較して,冷凍パイナップル処理のグルタミン酸相対濃度比は有意に高くなった。一方,軟化処理試料28個のうち,19個の試料が農産物の破砕物に浸漬していない試料に比べ,グルタミン酸濃度が高くなった。また,鶏胸肉に高圧処理を施し保存することにより,機能性成分を高蓄積することが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
水産物,鶏肉を用いて実験を行うことにより,農産物のみならず動物性食品についても,非加熱加工による食素材の変換をはかることが可能となった.とりわけ,水産物の軟化,鶏肉へのイミダゾールジペプチド富化について今年度は顕著な成果を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
高圧処理により鶏肉中に成分が高蓄積可能であることが見出されたが,現時点では200MPaのみでしか検討を行っていない.そのため,より広範な処理圧力x処理時間x保存期間の検討を行う必要がある.また,今年度は,高圧処理後の鶏肉を4℃または25℃で保存したため,今後は実用展開を視野に入れ,高圧処理ー冷凍保存後の成分動態を定量的に評価する.
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