2013 Fiscal Year Research-status Report
柿タンニンとタンパク質の化学反応性を利用した調理加工方法の開発
Project/Area Number |
25350095
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
鶴永 陽子 島根大学, 教育学部, 准教授 (60517051)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 柿タンニン / タンパク質 / 抽出条件 / 可溶性タンニン |
Research Abstract |
渋柿の渋抜きには温湯法などがあるが、脱渋後の加熱処理で渋戻り(復渋)する問題があることから加工品への利用が限定されていた。そこで、我々は、渋味成分の柿タンニンにタンパク質を添加して複合体を形成させる渋抜き方法を開発した。しかし、この渋抜き法には、復渋抑制効果や食感向上効果がある一方、タンパク質の添加方法によって、品質が大きく変化する問題点もある。本研究では、柿タンニンとタンパク質の複合体形成の特性を調理加工に効果的に応用することを最終目的に、柿タンニン-タンパク質複合体形成の機構、複合体を形成させるための最適条件を明らかにする。これまでに、我々は、20種類程度のタンパク質ついて、柿タンニン-タンパク質複合体形成の比較を行ってきた。その結果、ゼラチン、コラーゲン、魚肉などのタンパク質は、柿タンニンと複合体を形成しやすいことが明らかになった。また、柿タンニン-タンパク質複合体を形成するのに関与する疎水結合や水素結合ならびにイオン結合などがどの程度関与しているのか検討した。方法は、柿タンニンにタンパク質を添加して複合体を形成させ、その抽出条件をかえることにより、複合体を形成している結合状態の解析を行った。抽出溶媒は酸濃度(0~1%)とメタノール濃度(0~80%)を組み合わせ、抽出温度は常温、40℃、80℃処理区を設定した。その結果、複合体を形成するタンパク質素材の違いにより、タンニンが可溶化する抽出条件は異なっていた。これらのことから、タンパク質素材の違いによりタンニンとの結合形態は大きく異なることが示唆されたため、今後はさらに詳細な検討を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に計画した内容をすべて実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ順調に実験ができているので、申請書に示したとおり、今後も計画に従い実験を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究成果を国際学会にて発表することを予定しており、平成26年度に発表することにしたため、海外旅費を確保する必要が生じた。 H25年度からの繰り越し282,914円と、平成26年度の予算500,000円を合計した782,914円について、申請時に示した実験(抗菌性試験、柿タンニン分析、食品加工品試作費)と国際学会での発表の海外旅費として使用する。論文執筆時の英文校閲などの謝金にも使用する。
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