2014 Fiscal Year Research-status Report
柿タンニンとタンパク質の化学反応性を利用した調理加工方法の開発
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25350095
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
鶴永 陽子 島根大学, 教育学部, 准教授 (60517051)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 可溶性カキタンニン / 脱渋 / 復渋 / タンパク質 / うどん |
Outline of Annual Research Achievements |
カキ‘西条’は,主に島根県,鳥取県などで栽培されている渋柿である.糖度が極めて高く,食感も良いことから市場での評価が高い品種であるが,渋ガキの主要品種である‘平核無’や‘刀根早生’に比べ樹上および収穫後の軟化が早い.これらの軟化果実や小玉果実は規格外として廃棄されており,その量は全収穫量の2割~3割を占めるため,有効利用が望まれている.しかし,渋柿を食品として利用するためには,アルコール脱渋法,ドライアイス脱渋法などにより渋味成分である可溶性カキタンニンを不溶化させ脱渋する必要がある上に,脱渋処理しても加熱処理でカキタンニンが再可溶化して渋が戻る(復渋)ため,加工食品への利用は限定されていた.一方,可溶性カキタンニンは,タンパク質との化学反応性が高い物質であることから,日本酒のおり下げなどに活用されてきた.我々はこのタンパク質と可溶性カキタンニンの複合体形成に着目し、中力粉に渋味のある渋搾汁液および渋ペースト添加してうどんを製造し,複合体形成による有効性を検証した.その結果,うどん製造時に,脱渋処理をしていない渋柿搾汁液や渋ペーストを添加すると,物性では麺帯の弾性や硬さが増すとともにもろくなり,色は赤味をおびるとともに暗い色調になることがわかった.また,渋柿搾汁液や渋ペースト自体は非常に強い渋味を呈するが,うどんに加工することで,渋味が消失することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に計画していた実験については予定どおり実施できており、成果については論文投稿、学科発表により公表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
・柿タンニンが魚肉と塩のゲル形成反応に及ぼす影響 魚肉に塩を混和すると、アクトミオシンを形成し、弾力性のあるゲルを形成する。そのゲル形成に柿タンニンがどのような影響を及ぼすか明らかにする。 ・柿タンニンが卵の凝固性、乳化性に及ぼす影響 柿タンニンの添加が、卵の熱凝固性に及ぼす影響ついて検討する。手法は、卵白、卵黄、全卵に、濃度を変えたタンニン抽出液を添加し、70~100℃の加熱条件下で加熱処理する。タンニン添加濃度の違いによる凝固温度および性状の差異、「す」の入り具合、色調変化について検証する。また、柿タンニンエキス(水系)および油の混合液に卵黄を添加し、乳化性の変化を確認する。柿タンニンエキスの濃度依存性についても検討する。
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